愛おしさを紡ぐ
3年前だったか、僕が島根県の起業家スクールに通っていた頃『愛おしさを紡ぐ』というタイトルのプレゼンテーションを見せていただいた事があります。

プレゼンテーションを見せてくれたのは松江市でタペストリー作家をされている陶山千代さん。

最高に素敵なおばちゃんです。(怒られるかな。。)

陶山さんは未脱脂羊毛という脂を抜かない状態の毛を使ってタペストリーやジャケット、セーターなどを製作されています。
原毛を自分で洗って未脱脂羊毛作りからされているんです。

普通の羊毛は脂分もすべて洗い落としてから流通されています。
一方、未脱脂羊毛は人間の体毛に近い性質で丈夫で肌触りがよく、保温性、保湿性、防水性に優れています。
しかも大事に着れば100年はもつというもの。
だからそのセーターは子供や孫に受け継いでいけるんです。
着継がれる物って物語があって素敵ですよね。

そんな陶山さんが話してくれたこと(3年前の話なので若干ニュアンスが違うかもしれません)

ある日、プロのタペストリー作家である陶山さんのもとにある方が犬の毛を持って来られました。
「家族のように連れ添った犬をずっとそばに感じていたい。」
そのためにこの犬の毛を紡いで欲しいと来られたそうなんです。

陶山さんも最初は戸惑われてそうですが、お世話になった方でもあり、その方の犬への愛情をよく知っておられたものでその毛を使って糸を紡いだそうです。

そんな中、愛犬が死んでしまいます。

飼い主の方は高齢の方で、まるで生きる張りを無くされてしまったかのようでした。

未脱脂の毛は匂いが少し残るそうです。

肌触りもそのまま残るそうなんです。

陶山さんは紡いだ糸で手袋を作り、飼い主の方のもとへ届けにいきました。

その作品を見て触って嗅いだとき、飼い主の方は愛犬を側に感じられたそうなんです。

思い出をずっとそばに持ち続けることができ、生きる力を取り戻すことができたと。

その時陶山さんは「自分が紡いでいたのはただの動物の毛でなくて、その方と動物との愛なんだ。」と気づかれたそうなんです。

そして今後はそういったつながりや関係を紡いでいきたい。

そんなお話でした。


僕の伝え方が悪くてうまく伝わっていないかもしてませんが、僕はこの話を直接聞いた時、ガーンとショックを受けたんです。

そしてその後すぐに「牛の毛を紡いでもらえませんか?」とお願いにあがったんですよね。

それからバタバタしていまして1年半ほど経ったのち、改めて製作を依頼しました。

時間のあいた時を見て、家で飼っている牛50頭のすべての牛をブラッシングし、取れた毛を送りました。
(抜け毛でないと駄目なようです)

そして、ベストとマフラーと帽子を作ってもらったんです。

牛の毛は短いため少しチクチクしますが、間違いなく牛の毛ざわり。

牛に包まれている気持ちになりました!!

めちゃくちゃあったかいんです!!!

牛って肉だけでなく皮も脂も骨も蹄も何でもつかえることは知っていましたが、被毛も使えるんだと改めて教えていただきました。

ちなみに陶山さん曰く、「牛の毛は初めて紡いだけど、アルパカのような毛ざわりで素晴らしい」と絶賛いただきました。

(余談ですが但馬牛は同じ黒毛和種の中でも被毛の質がいいことが特徴なんです。
だから他県の品評会では牛は毛刈りをするのですが、但馬では毛の良さをあえて見ます。)

作りもプロのタペストリー作家さんだけあって本当にしっかりしており、なにより牛を感じられるベストでした。

ちなみに牛飼いで緊張に弱い僕が昨年1000人もの前でプレゼンできたのもこのベストを着て常に牛を感じながら話せたからだと思います。

牛ベスト、着てみたい方はお越しいただいた際にいつでもおっしゃってくださいね!

d0099005_1513657.jpg


いつも陶山さんのことを紹介したいと思いながら3年経っていました・・・

今日インターネットで検索してみると明日11月17日まで福岡で作品展をされているようです。

もしお近くの方がおられましたら一度陶山さんの作品を見て触れてみられてはいかがでしょうか?


【陶山千代作品展~未脱脂羊毛を紡ぐ~】
●期間: 2009年11月12日(木)~11月17日(火)
●時間:9:30~20:00 (最終日は18:00閉場)
●会場:丸善福岡ビル店 3Fギャラリー
●料金:入場無料
●お問い合わせ:丸善福岡ビル店(TEL:092-731-9000)
●住所:福岡市中央区天神1丁目11-17
●TEL:092-731-9000


d0099005_15123925.jpg

[PR]
Top▲ | by beefcattle | 2009-11-16 15:22
"Fallen Leaves" Skin
by Animal Skin
<< 農活―はじめる!my農業スタイル | ページトップ | 放牧経産牛『きくふじ1』の精肉量 >>