やりたいだけ
「サシばっかり追求する時代じゃない。」
「A5-12(最高級ランク)なんて一口食べたら胸をもって食べられない。」
「食べるならA3(下の上ランク)くらいの肉でちょうどいい。」

こんな話は目新しい話じゃなく、ずっと言われてきた。

だけどやっぱりサシが入った牛肉の方が高く売れる。
そこに正論を振りかざして「サシ」を否定しても何も始まらない。
実際脂は美味しいしね。

「サシ一辺倒よりも、やっぱり食べてうまい肉だと思うよ。」
そんなことは誰でも思う。
だけど思うだけでは変わらない。

牛肉の味は血統、餌、飼い方、飼育月齢、性別、熟成法、カットの仕方、調理法、食卓の雰囲気などで変わる。
僕のような子牛生産農家がいくら「サシだけじゃない、味だ」と言っても何も変わらない。
本当に変わらない。
だってただ言っているだけだから。
それにむけて何かをするわけでもないから。

たとえば牛肉の味に血統による要因が10%あったとしても、それは子牛価格にはあまり反映されない。
だから種雄による味の違いのデーターを頂いても、実際は肥育農家さんの求める(サシが入り増体の見込める)種付けをする。
そして肥育農家さんはお肉屋さんの求める牛肉をつくる。
そしてお肉屋さんは消費者の求める牛肉を販売する。
だから今の流れは必然なのかもしれない。

でも、消費者の求める牛肉って何?
見た目がよく軟らかい牛肉のこと?
牛肉の消費が伸び悩んでいるのは景気だけのせいなんだろうか?

普通の商売なら消費者の変化に対応して、お客様にとって本当に価値のあるものを作り続けるもの。
消費者は牛肉に何を求めているんだろう。
流通経路が複雑なので僕らは逆に消費者の顔が見えない。

牛飼いを始めて8年。
世の中は変わっているのに、8年間変わらず僕は「いかに大きく、いかにサシが入るか」のみで子牛を生産する。
そして牛肉が売れないのは景気のせいにする。
これ、大丈夫なの?

僕らはどこを目指すんだ?

まず、見る相手は食べてくれる消費者じゃないの?

でも、繁殖農家は肥育農家さんだけを見て経営しちゃう。
肥育農家さんはお肉屋さんを見て経営してしまう。
(もちろんそうじゃない人もいるけど)

市場に乗っかっていると、その先のまた先の消費者まで正直考えられない。

だから以前、僕は「高く売る」と言うところにしか自分の存在意義を見出せなかった。
人より5万円高く売れたら勝った気がした。
カッコ悪い・・・

高く売れる牛を生産するには牛を見る目も技術も知識も必要。
簡単ではない。
だからいつも高値で販売されている農家さんを見てすごいなあと素直に尊敬する。

だけど、高く売ることを牛飼いをする目的にしたくない。
平均よりも5万円高く販売することは難しい。
でも、自分が引退する時「僕は牛飼いをして平均よりいつも5万円も高く売ってたんだ」なんていってる自分を想像したとき、つまんないって思っちゃった。

もとより一攫千金を狙って牛飼いを始めたわけじゃない。
最初は大学院に残って研究職につくつもりだった。

自分が死ぬとき、「じいちゃんは昔、何百万円で牛を売ったんだ」とか僕は孫に言うのかと思うと絶対いやだ。
「じいちゃんは牛と一緒に日本を元気にしてきたんだ。」そう言いたいなって思った。

僕は自分の牛を食べていただく方ともっとつながりたい。
食べていただく方の食卓までかかわりたい。
お肉を売っておしまいじゃなくて、食卓の会話にまでかかわりたい。
パートナー制度はそんな思いでやっている。

そこには市場原理を否定するという無駄な考え方はいらない。

シンプルにただ自分が直接関わっていくだけ。
正論もいらない。
ただ自分がしたいだけだから。

正しいかは知らない。
必要とされなければ消えていくだけのこと。
でも、必要とされれば真似する人が出る。
そこから変わると思う。

すべては自分から。
正論や否定は自己満足で止まっちゃうよね。

今、放牧牛肉の食べ方を模索している。
糠漬けと粕漬けで食べてみた。
結果は・・・・・イマイチ。
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この繰り返し。


すべては自分を信じることから始まる。
そして動くことで広がり、周りに感謝することからつながる。

分かっちゃいるけれど実際売り上げが落ちていくとブレてしまう。
お金を追いかけてしまう。
売り上げは「喜んでいただいた結果」。
当たり前のことなんだけどね。
どうも子牛だけを見ていると忘れがちになってしまう。

きれいごとで終わらせないためにも今年は具体的に形にしていきたいと思います。
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Top▲ | by beefcattle | 2010-02-19 01:26
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