「あつみちゃん」
僕がこのブログを始めたのは2006年12月3日。
まだ28歳でした。

気がつけばもう5年以上も書いていることになります。
なかなかブログ書いていないと言いつつも、記事数は327件。
これが多いのか少ないのか、そこら辺はよくわかりませんが。
数を書くことよりも、1回1回真剣にその時の思いを書ききってきました。

そのせいか「情熱的で革新的で真面目な若手農家」っていうイメージでとられることが多くなりました。

でもブログはあくまでブログ。
嘘は絶対書かないし、しっくりこない表現すら絶対に載せることはないけれど、僕のすべてじゃない。

そもそも、僕がこんなふうに思われるきっかけとなったブログ。
始めた理由は『婚活』でした(笑)

牛飼いの仕事すら知らなかった僕。
大学院を中退して畜産農家での2年間住み込みの研修。
何度も壁にぶつかりながら、ようやく借りた牛舎で5頭から始めた牛飼い。
次々借金して牛を増やし、牛舎を点在させながら無我夢中で、借りたお金の重さも分からないまま規模拡大に進みました。
そして、自分の牛舎を建て、牛もそろえてきた頃、規模拡大という単純明快な目標が消えてモチベーションが一気に下がってしまった時期がありました。

当時の僕は畜産の最新技術にハマっていて、色んな本や雑誌を買いあさっては新技術を取り入れていました。
その時に見つけたのが獣医師である山本浩通先生の
『誰も教えてくれなかった農場をうまくやる方法~コーチングであなたの農場が100倍魅力的になる~』
という本でした。

当時コーチングということばビジネス雑誌では出てきていましたが、農業分野では聞いたことのない言葉でした。

著者の山本先生はコーチングの受付けをされていなかったようだったので、山本先生がコーチングを受けていたコーチの方と連絡をとり、お金を払ってコーチングの契約をお願いしました。

「杉本良明」さんと言う方です。

僕は「新しい目標の設定とそれを管理するためにコーチを雇ってセルフコントロールしよう!そして経営をさらに良くしよう。」
そんな思いでいっぱいでした。

今思えば、目標を失っていた自分が、依存できる場所を探していただけの気もします。

それでもその時は、その思いいっぱいでコーチングを受けることになりました。

コーチングとは「相手の中にもともと持っている答えを、コーチが聞きに役に徹することでクライアントから答えを引き出していく」そんなイメージをよく持ちますが、杉本コーチはどんどん提案してくれるコーチでした。

電話で話していく中で、話は脱線してプライベートなことへ。。。

杉本コーチ:「田中さん、独身だって聞きましたが、結婚願望はないんですか?」
僕:「そ、そりゃ、良い人がいたら結婚したいとは思っています。」
杉本コーチ:「じゃあそのテーマでコーチングしていきましょうか。」
僕:「ええっ!!これってビジネスコーチングですよね。結婚相手を探すなんて、そんな(よこしまな)テーマありなんですか!?」
杉本コーチ:「もちろんですよ!だって結婚相手を探すなんて、一生のパートナーを探すってことなんですよ!経営目標の設定も大事かもしれませんが、一生のパートナーを探すことをないがしろにしてるなんて変ですよ。」
僕:「(なんか照れくさいけど)じゃ、じゃあそのテーマでお願いしてもいいですか?」
杉本コーチ:「わかりました。じゃあまず、ご自分の周りの方に『僕は本気で一生のパートナーを探したい。だから力になってもらえませんか』ってお願いしてまわりましょう。
「結婚相手を見つけたい!」っていう思いなんて、だいたいみんな思ったことあるもんです。だから気持ちも理解してもらえるし、何より真剣にお願いされたら「よっしゃなんとかしたろう!」って思っちゃうもんですよ。
かっこつけて『僕は自分で見つけられるよ~』なんてすかしていたら駄目ですよ。」
僕:「な、なるほど~。(俺、カッコつけてすかしてたな・・・)」
杉本コーチ「ではまず、釣書をつくりましょう。そしてそれに添える写真も。写真は良い物を!第一印象が大事です!釣書とはお見合い相手などに送るプロフィールのようなものです。とにかく餌屋の営業でも周りの牛飼いさんでも配りまくってください!これは一生のパートナーを見つける大事業ですので、恥ずかしがっていてはだめですよ!」
僕:「は、はい。頑張ります!」

な~んて盛りあがり、釣書を書くことに。
そして、高校や大学の同期や削蹄の兄弟子に電話をかけて「俺本気なんだけど、結婚相手を探していて、一生のパートナーだからみんなの力も借りたくって・・・・」とお願いしました(笑)
その時に、釣書だけじゃ味気ない、自分をもっと知ってもらうためになんかないかな~と思い始めたのが、このブログなんですね~。

本当は『牛たちと自然いっぱいなところで楽しんでいま~す。』
っていうような良いイメージで軽い感じのブログを書くつもりだったんです。
でも、書いているうちに暴走しだして、言いたいこと言いまくるようになり、今のブログになるのです。。。。
(ちなみに初めての投稿が「この記事」最初から当初の目的とずれているとこが僕らしいです。)

よこしまな、いやいや、純粋な動機から始まったブログと婚活。
色んな人達と繋げてくれました。(まぁここは色々割愛しときます。)

そうやって将来の相手を真剣に探し、空回りしながら、ブログもちょこちょこ更新していっているうちに、僕が放牧で牛肉生産したいっていう思いに反応してくれて、ある方からメッセージをいただきました。(注:男性です)

その方が働いている牧場は岩手県にあって、その牧場では完全に放牧だけで牛乳を生産し、自社プラントを作り、販売までしているとのこと。

さっそくその牧場に電話をし、2泊3日の研修をお願いしました。
そしてすぐ岩手県の宮古へ飛びました。

そこでの研修は刺激的で色々と考えさせられることもあったのですが、
最終夜、社長とブログにメッセージをくれたY君との3人で飲み明かすことになりました。

熱い牛談義から話は僕が独身だという方向に進み、急に社長が一言
「あつみちゃんなんていいんじゃない?」と言いだしました。
Y君も話に乗って
「あつみちゃんいい子ですよね~」と
僕は酔っ払ってたので
「はぁ、あつみちゃんですか~」と適当に相槌をうってました。

するといきなり、
社長:「よし、あつみちゃんを呼ぼう!!」
Y君:「呼びましょうか!」
僕:「・・・・・・」
社長:「Y、あつみちゃんに電話しろ!!」
Y君:「今10時過ぎてますが、今からですか?」
社長:「そうだ!!」

そして、深夜酔っ払いのおじさんたちは宮古から車で3時間かかる盛岡市にいたアルバイトの「あつみちゃん」を呼びだすという暴挙に出ました(笑)

そして夜中の2時ごろ「あつみちゃん」が来た頃、僕たちはすっかり酔い潰れて寝ていました。。。
(めちゃくちゃタチ悪いですね・・・)

朝、歯を磨いていると後ろに女の子がいました。
途中で寝た僕は、よく意味がわかりませんでした。

そして実習最終日の朝、山形村の短角牛を見せに連れて行ってもらうことになりました。
社長が運転、奥さんが助手席、そして後部座席には僕と「あつみちゃん」

何とも良くわからない状態で車は発進しました。
道中2時間半。
2人の間に会話なんて一切なし。
車内に微妙な空気が。。。。。。そりゃそうだ。

そんな時、ふっと「あつみちゃん」が社長にはなしかけました。

あつみちゃん:「この前、社長のとこの牛乳を飲もうと思って大学の購買部に行ったんですよ。そしたら売り切れていたんです。」

(あ~、かわいそうに。わざわざ行って売り切れとはついてない子だなぁ)と、思っていると
「あつみちゃん」はすごい笑顔でこう言いました。

「買えなくってうれしかったです!!」

ずどーぉぉぉぉんときました!!!

大好きな牧場の大好きな牛乳が売り切れてて、でもそれは、みんながその牛乳をたくさん買ってくれて飲んでくれたってことだから「うれしい!!」って思える。
そんな人いるんだ!!

この瞬間に惚れました。

結局会話らしい会話もないまま、僕は帰り際に名詞だけ渡して兵庫県に帰ってきました。
名前と顔と少しの会話しかない中で、年齢も職業もな~んにもしらないまま別れました。

普通なら2度と会わない人。
でも、どうしても何か気になってメールしたり、電話したり。
だんだん電話する時間が増え、毎日6時間近く電話し続け、結局たった1日会っただけで結婚するところまで至りました。
そん時に初めて「あつみちゃん」が未成年だったことが判明。。。

今になって「勢いってすげーなーっ」てお互い言ってます(笑)


いやいや、嫁さんとののろけ話ではないんです。

10代で東北から兵庫県の但馬へ単身でやってきて、結婚、牛飼い、子育て。。。。
僕とは9歳違い、牛飼いの経験年数ももちろん違う。
但馬は僕のホームグラウンド。
当然のように何もかも主導権は僕が握って。
おまけに僕は普通の牛飼いと違って、暴走列車のように飛び回り、やりたいことに一直線。

本当につらいことがいっぱいあったと思う。
今もしんどいことだらけだと思う。

今は牛舎仕事のメインは妻です。
今月に入って6頭もの牛が死ぬという、経営して以来経験したことのない、信じることができない事態が起きました。
僕が鬱で無く、今まで通り牛舎に入っていても同じ結果だったと思います。
でも、そういったことも含め本当にたくさんのものを妻の背中に乗せてしまっている。。。

本人は「勢いで結婚しただけ。若かったから~」なんてあっけらかんと言うけれど、
10代の女の子が全く見知らぬ土地で牛と新しい家族とともに進んでいく事を決めるってことは本当に本当にすごい覚悟だと思う。
だって1日しか会っていないんだし。
おまけに僕は暴走列車だから。

それでも僕を信じてついてきてくれている。

もったいないくらい。
自慢の奥さんです。

今の僕は妻の愚痴も聞けない状況。
本人は何事もないように休んでいる僕をサポートしてくれている。
なんて情けない夫だろうって思う。

このブログで「奥さん想いの夫」を演出したいわけじゃない。
むしろ僕は「奥さんに重荷を背負わせている夫」だ。

「それは重荷じゃないよ」「奥さんは重荷って思っていないよ」って意見もあると思う。
でも僕はやっぱり「重荷」を背負わしているって思ってしまう。

ただ、
『一生一緒にいる』ってことは、そんな時だってあるってことなんだと思う。
開き直ってるみたいだけどそう思うんです。
もちろん立場が逆の場合だってあります。
毎日笑顔で愛情いっぱいであればいいのかもしれないけど、一生一緒となれば色んな事があるのが当たり前。

申し訳ないな。情けないな。後ろめたいな。むかつくな。。。
色んな感情あって当たり前。

でも、『一生一緒にいる』ってことは、当たり前じゃない。
当たり前じゃないんだ。

だから今、横で優土だっこしてテレビ見ているあつみのいる風景が嬉しい。

いつもいつも田中畜産は僕が看板みたいに前に前に出てきたけど、
今日は自慢の奥さんを紹介したくてブログを書きました。

みんな「あっちゃん」ってよんでくださいね~!

ありがとう!!!

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Top▲ | by beefcattle | 2012-01-30 12:59 | 日記
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