子牛市から思う事
一昨日は但馬家畜市場の4月子牛市でした。
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市場平均、去勢395,131円(前年同期比52,814円安)、メス373,333円(前年同期比27,033円安)。
価格の上下幅の少ない市場でした。

4月市はいつも相場が下がるのですが、税込みで40万円を切る市場はここ数年覚えがないです。
今の枝肉相場や社会情勢からみれば仕方のない事なのかもしれません。

我が家は去勢1頭、雌1頭の出荷で、平均が42万円でした。
菊西土井という全く人気のない種で、発育も特別良いってわけではありませんでしたが、ボタンを押しきって下さったお客様、途中まで押して下さったお客様、発句ですぐ落ちないように最初押して下さっている方々に感謝です!

買っていただいたお客様は削蹄でお世話になっている農家さんでした。
もちろんそれが理由で買って頂けた訳ではないのでしょうが、何をしていても人間関係は基本だなぁと思いました。
それは、おべんちゃらを言う事でもないし、ペコペコする事でもないと思っています。
牛に対して、そして肥育農家さんに対して、どれだけ僕が誠実であるかだと思います。
時間はかかろうが、それこそが我が家の見えない資産だと思っています。

よく牛市に出すと「市場平均に比べてどれだけ高く売ったか」に目が行ってしまいます。
それは一つの指標なのですが、あくまで同業者との比較でしかなく、今の自分の牛を評価する一つの視点でしかない。
当たり前の話ですが、例え自分の所の平均が35万円であったとしても、粗利や営業利益がどれだけあるか、それが大事。
例え55万で売っていても、種付けは悪いわ事故はあるわで粗利ですらマイナス。
なんて事では何の意味もない。というか牛飼いしない方がいいです。

ただ、市場で高く売ったら自尊心は満たされる。
そこが「上手くいっている」なんて言う盲点になりえない。

高く買っていただける牛づくりと、肥育農家さんとの信頼関係づくりは必須だが、どんな価格であれ一喜一憂しないようにしたい。
市場平均の下落も上昇もコントロールできないもの。

いかに原価を下げるか。
いかに良い牛(喜んでもらえる牛)を作るか。
そしていかに利益を出すか。
そんな当たり前の事を淡々と楽しんでやっていきたい。

お肉屋さんはお肉が売れないので仕入原価を下げる。すると枝肉相場が下がる。
肥育農家は枝肉相場が低いので仕入原価を下げる。すると子牛相場が下がる。
でも、
繁殖農家は子牛相場は低いので仕入原価を下げる。すると飼料相場が下がる。
とはいかない。

配合飼料、代用乳は年々値上がりし、一度上がると全く下がることはない。
おまけに東北の自給飼料が放射能で全廃棄になってフェスク、イタリアンなどの親牛に与える乾草は国内で奪い合い状態。
入荷ごとにキロ2円近くも上がっていくという事態。

飼料メーカーは大手の会社だから利益を抑えてまで販売するなんてことはまずない。
こうやって見ると、購入飼料メインでやっている繁殖農家というのはなんて弱い業種なんだろうと思う。

『ただしっかりと牛を見ていれば(真面目にやっていれば)儲かる。』
なんて言うのは半分真実だが半分は幻想だ。
ありとあらゆる方向に目を向けて、その上で牛に集中していかなきゃ。
例え100万円で売れたとしても、その良かった1頭の牛に心を奪われてたらあかん。
(100万円で売ってないけど・・・100万円で売りたいけど・・・(笑))

「出来る事を見つける目」「スピード」「行動力」「覚悟」がそろってないと、とても繁殖経営をやっていけない時代だと思う。
繁殖農家だからって「子牛を高く売る」っていうところだけを見ていてもいけない。
廃用になる親牛にどんだけ価値を作れるかという視点も一つだと思う。
市場に間に合わない牛を肥育する事も一つの手だと思う。(ただ、今の僕にはまだ早い。)
色んな選択肢がある。

今回も牛の割に42万円平均で買っていただき、とても助かった。
市場平均よりも良い値段だ!!
だけど、この値段で良いかと言えば今の状況では『NO』だ。

この価格でもやっていけるように、どうやって原価を下げていくか、どうやって販売価格を上げるか。
「目」「スピード」「行動力」「覚悟」をもって進むしかないな。

美方郡は山間の谷にそって集落がある地域なので耕作放棄地なども小規模で点在している。
牧草を作ろうにも「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉が昔からあるくらい雨や雪の多い地域。
だから機械からそろえて牧草を作るにはリスクがある。

それでも、今年から牧草の栽培を始めることにした。
もちろん放牧場は今まで以上に積極的に候補地を探しに動こうと思う。
(但馬内で情報があれば教えていただきたいです。)

削蹄ももうそろそろ復帰する。
子牛の事故率、こぼれ率を減らす。(これだけでも平均価格はグッと上がる)
昨年までは採卵や受卵牛の関係で受精の遅れた牛が多かったので、一旦採卵やめて受精に集中する。
予防は当然として、治療の早期発見を超早期発見にし、治療内容も若干変更した。
繁殖日数を現在の357日(72日)から2年で340日(55日)まで持ってくる。
あとは毎月ごとの原価、販売管理費の見直しと修正。
光熱費ケチケチ作戦。
家計の見直し。などなど。
その上でお肉の利益が少しずつ見込めるようになればいいな。(ここは焦んないです)

最近バリバリ仕事したくなってきた。
良くなってる実感がある。(対人関係は全然ダメ)
胸の苦しさは取れないけど、意欲が出てきたのは大きな変化だと思う。
焦りたい!!
焦ったらあかん!!!
そんな感じ。

子牛がいっぱい死んでから、当たり前だったお産が、毎回毎回本当にドキドキして仕方ない。
もう、毎回親牛と一緒にいきんでます!(笑)
元気に生まれてきてくれるだけで本当に嬉しいや。

今日もお産だった。35キロの雄。
その前は28キロのメス。
その前は30キロのメス。
但馬牛にしてはとっても順調すぎる大きさです!!

消毒体制もレベルアップしてきたし、まだまだ目に見えてこないけど、って言うかこれから死んだ子牛の損失が目に見えて苦しくなってくるけど、今やっている事を信じて進みます。

色々脱線しましたが、ご購買者の皆様、ありがとうございました!!

我が家の子牛育成の基本は一つです。
「買ってもらった先で、よく食べる牛」づくり。

そのために母牛の管理から大きな子牛を産んでもらい、強化哺乳(90日離乳)で初期発育のフレーム作りをしっかり行い、ワクチネーション、駆虫、環境で疾病の予防に力を入れ、高タンパク子牛育成飼料(ダイアM)をマックスで3.2~4kg給与しています。
その上で、いかに出荷前に乾草を4~4.5kg食える牛に出来るかに照準を絞って飼っています。
基本的にここ5年間、飼い方はずっと変えていません(給与回数を変えたり、細断したりとかそういう変化はありますが。)
ただ、今年からは子牛の乾草をチモシー、スーダンだったのを自給乾草割合30%にしていく予定です。

マイコも撲滅し、風評被害も感じなくなったのでマイコプラズマのまとめも書ける範囲で後日書こうと思いますね。

来月はメス1頭です。
僕自身の治療も含め、今出来る事に集中していきます!

ありがとうございます。


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Top▲ | by beefcattle | 2012-04-13 10:14
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