放牧牛肉に抜けた取り組み ちょっと番外編
前回で考え方の部分は終わりにしたかったのだが、もう少し補足してまとめとしたい。

先日、福島県で山地酪農をされている方とお話しさせていただいた。
山地酪農とは山の環境と自分の牛の能力を常に把握し、人間が環境のバランスととって行く事で長い時間をかけて作る酪農スタイル。
山林を活用した放牧の仕組みで、その放牧場を作るためには何十年という歳月が必要になる。

日本でも実践している牧場は数えられるほどしかない。

その方は福島の原発事故の影響で、放牧は当然出来ないとおっしゃっておられた。
おまけに来年には山地酪農の命とも言える表土を全てはがなくてはいけないと言う事。
何十年と培ってきたもいのが一瞬にして奪われる。
「身を裂かれるような思いです」そうおっしゃっておられた。

僕などが軽々とかけられる言葉なんてなかった。。。

北海道の旭川に山地酪農の先駆者とも言われる方がいる。
僕も何度か見に行った事がある。
本当に素晴らしい放牧場で、今でもその時に訪れた感動は忘れられない。
今は後継者の方が経営されている。
しかし、先代との経営に対する考え方の違いで、その放牧場は少しずつ姿を変えていっている。

今、僕が何を言いたいかって。
物事に「絶対的な良い悪いなんてない」ってことなんだよ。

ただ、その真摯に取り組んでいかれた思いや行動に僕の心が惹かれる。
尊敬している。
そういった気持ちだけは間違いなくある。

善と悪という二元論は非常に分かりやすい。
「放牧は自然と調和している/輸入飼料や穀物主体の牛は不健康」
「環境に調和した放牧での牛肉生産/狭い牛舎の詰め込みの牛肉生産」
同じように
「利益を出すための霜降り重視の牛飼い/サシが入らないから健康志向でブランディング化せざるを得ない短角牛・褐毛和種」
「サシを入れるための最新の管理技術とそれを支える牛への思い/ただほったらかしているだけの技術もへったくれもない放牧牛肉」

二元論で考えた時、立場によって物事は真理か偽りかになる。
表か裏か。
この考え方って非常に「楽」なんだ。
片方に酔ってしまえば真実にたどり着いたかのような錯覚にすぐなれる。

僕は神様は全てに宿っていると思っているので、特定の宗派も宗教も持たないし否定する気もないけど。
暴論を承知で言えば宗教とおんなじ。
何事も選択し、今を有効に生きるために活用すればいいけれど、依存してしまうとそれが全てだと思ってしまう。

「サシが入ったらいいんだ教」
「儲かったらいいんだ教」
「牛肉食べたら癌になる教」
「放牧は自然で素晴らしい教」
「放牧は牛にとって幸せ教」
「サシよりも美味しさなんだよ教」
「国産は安全だよ教」

これほど安易な情報操作も考え方もない。
だって考えなくていいんだもん。
こんな事を書くと、間違いなくお客さん減るんだろうなと思って書いている。

自然と調和した農業なんてあるんだろうか?
これが絶対に正しい姿なんてあるんだろうか?

どんな大義を抱え、志を持って事業を起こしても、代が変われば変わる。
よく、坂本竜馬がヒーロー視されるが、坂本竜馬がいなかったら今、僕はいないかもしれないけど、いなかったなりの今がある。
坂本竜馬と同時期に生きていた名もない人間が1人死んでいただけで今の歴史は変わっていたかもしれない。
そんなもんなんだと思う。
絶対正義なんてないし、真理なんてそうそうないよ。

全ては平等なんだと思う。
all flat
ゼロベースで一旦考えてみる。

真理なんてそうそうないよ。
ほとんどが「主観」だから。

その上で、自分が何が好きなのか。
そして、何がしたいのか。
深く深く考え、自分の人生を生きればいい。
と、言うのが僕の主観だ。

僕が放牧での牛肉生産を日本中に広げて日本の食料自給率が10%上げたとすれば、もう偉人だと思う。
でも、10代先にはその思想や取り組みが継続されているかなんて知る由もない。
1代先でも分からないのに。
偉人がいたから今があるのではなく、過去にチンピラであろうが、教師であろうが、農民であろうが、奴隷であろうが、今に繋がっている。
命に無駄なんてない。

二元論では否定の上に成り立っている正義をよく見かける。
だからこそゼロベースで見直してみませんか?と提案したい
そこから考えてみて、自分の思う選択肢を選べばいい。
それは好みで良いんだ。
それで結果的に同じ選択肢ならなおいいじゃない。

好きだから。
これ以上の理由なんてあるんだろうか。

二元論で考えない。
真理なんてそうそうない。
好きだから。
大切なものを大切に生きたい。

個人的に、大切な人が増え、お互いを思い、そのやり取りの中で生きていけたら、満足のいく死をむかえられると思う。

だから、しっかり働かなくっちゃね。

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番外編でした。
(その5へ続く)
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Top▲ | by beefcattle | 2012-10-29 21:04
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