放牧牛肉についての取り組み ひでふく屠畜
11月3日(木)にひでふくを、22日に夢とみつこを屠畜してきました。
今日はひでふくの話です。

我が家がと畜する屠場は、車で1時間ほどの所にある朝来食肉センターです。

兵庫県には神戸西部市場や加古川市場など大きな食肉センターがあります。
ここで神戸ビーフが認定されるわけです。
1日に捌く頭数も神戸は80頭近くと朝来の屠場とはケタ違い。
朝来は週2日。1日に10頭以下というとっても小さな昭和の香り漂う屠場なのです。

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牛が枝肉になるまで30分もかかりません。
屠畜が始まると、所狭しとお肉屋さん、屠夫さん、食肉検査所の獣医さんがいっせいに仕事をします。
僕は畜主なのですが、ここはまた別の世界。
いつも何していいのか分からずウロウロウロウロとしています。。。
(たまに放血した後を水で洗い流したり、脚にフック掛けたり、牛引っ張ったりと、何とか居場所を作ろうと模索しています)
間違いなく僕がいるだけで邪魔なのですが、大きなカメラぶら下げて隙を見ては質問し、また離れて、また質問し。。。
と繰り返していると結構楽しくて勉強になります。

屠場は8時搬入です。
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繋ぎ場にいるひでふくはおとなしくじっと立っていました。
ノッキングする場所までは5mもありません。。。


ノッキングにはこの銃を使います。
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眉間を打った「瞬間」に、牛は倒れます。
そしてすぐにナイフで放血させ、頭を落とし、つり下げて、専用の台の上に乗せ、皮をはぎ、枝肉にしていくのです。
ひでふくが枝肉になるまでは20分。あっという間です。
プロの仕事場の中では、感傷に浸る余裕もありません。
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そしてだいたい10時半ごろには全ての牛の屠畜が終わります。

ひでふくの枝肉重量は177.8kgでした。
放牧敬産牛肉の中では平均よりやや小さい方です。
一般の但馬牛の経産肥育は枝肉で280kgくらいですから100キロは小さいんですね。
当然のことながら一般の経産牛と骨の重さは変わらないので、実際に取れる肉の量は1/3くらいになってしまいます。

今回からホルモンを持って帰って自分で洗う事にしました。
屠場で牛ををさばいている隣の部屋にホルモンの洗い場があります。
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左側の壁に窓のような穴がありますね。
この壁の向こうで牛がさばかれていて、内臓はこの穴から洗い場にほり込まれます。
ここで内臓の内容物を取ったりと「荒洗い」をします。
ここでざっと荒洗いしてもらったホルモンを持って帰って洗い直しやトリミングをするのです。

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手前がツラミ(ほほ肉)、テールやタンも内臓あつかいです。

ホルモンは鮮度が命。すぐにを持って帰って家で洗わなきゃ!!。。。と思いきや、そうはいきません。
BSEの検査が終わるまでは持って帰ってはいけないのです。
家畜車にホルモンを積むわけにもいかないので、一旦家まで帰り、車の入れ替えです。

16時ごろに屠場に到着。
荒洗いされたホルモンがどどどどーん!!!
ほほ肉、タン、心臓(ハツ)、テールで1箱。
レバーで1箱。
タチギモ、肺、気管、アキレスで1箱。
腸、子宮がドロ~ン、1箱。
胃袋はどどど~んと1箱。
それぞれに分けて持って帰らないと臭いがついてしまいます。

急いで持ち帰り、まずは簡単な赤物から掃除。
ほほ肉、心臓、タン、テール、タチギモ、肺、レバー、気管、アキレス。
オゾン水で表面殺菌した後、キッチンペーパーで水けをふき取り真空パックしてすぐ冷凍です。
今回も御影のフランス地方料理MOMOKAさんが全量買い取ってくださるのでタンもそのままで真空パックです。
ここまでは意外に簡単。

残るは氷水に入った胃袋と腸。
こいつらが強敵なのです。

牛の胃袋は4つです。
1胃が一番大きく「ミノ」と呼ばれる部分。大人でも丸まったら入れるくらいの大きさ。
2胃が「ハチノス」見た目のまんま蜂の巣みたいです。
3胃が「センマイ」
4胃が「ギアラ」や「赤セン」と言われています。4胃は人間と同じ消化酵素を出す器官で、その他は食道が発達して出来た器官なんです。
と、知っていてもいざ洗うとなるとまた違ったものに見えます。。。
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(ミノとハチノスです。でかい!!)

まずは一番簡単に洗えそうなセンマイを流水でヒダの根元の汚れまで落とす感じで洗っていきます。
結構簡単に洗えます。幸先いいスタートです。

次はハチノス。
センマイよりも目が粗いので簡単に汚れが、、、落ちない!!
ひとつひとつのクレーターに黒い粒がポチポチポチポチ。
洗えども洗えども落ちるんだけどなくならない。
最後は爪で擦って1つずつ落としました。。。
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こうやって流水で洗って、仕上げにオゾン水で洗って、キッチンペーパーで水を切って、
1kgごとに小分けして、真空パックすると。。。4時間が経過!!!
「うわ~、終わんねえぞ!!」

ミノは一番大きく、また、一番臭いがきついため最後に。
赤センはヌルヌル過ぎて時間かかりそう。後回し。

次は腸へ突入。
まずは短く太い大腸から。
内側と外側を洗っていきます。
内側が糞が通る道。外側には脂肪がまいています。
外側の脂肪は旨味でもあるので適度に残す方がいい。と本には書いてあるが適度がわからない。
「これは多いよな」
なんて取っていったら脂肪全部取っちゃいました。。。。
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なんてきれいな腸だろう。

それにしても適度にって、難しい。
1個取ろうとしたらバリバリバリバリ!!!って全部取れちゃう。
僕はホルモンの脂が好きなので脂は脂で取っておいて、大腸のみをトリミング。
流水の中でまな板を斜めにして包丁で内外を削ぐように洗っていきます。
特に内側がぬめりがあるのでしっかりと。
ぷるんぷるんのホルモンを再度オゾン水で洗い、「キッチンペーパー何枚使うねん!」って思いながら水を切り、
真空パックし終わったらまた4時間経過。。。

小腸、ミノ、赤セン、強敵が待ち構えています。
もうこの時点で「ひでふく」であることは完全に頭の中にはありません。
お肉だと実感がわくのですが、これだけホルモンと向き合うと「ホルモン!!」としか思えません。
感傷に浸る暇なし。

さあ、小腸です。
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黄土色のが内側のぬめり。
長い。とにかく長い。
大腸をこなした僕は同じくらいの容積の小腸をなめていました。
しかし、小腸は薄くて細い。
同じくらいの容積でも長いので、洗えども洗えども一向に切れる気配がありません。

「今度こそは脂を少し残そう。」
そう思ったはいいのですが、脂を残すと包丁で洗いにくい!
内側のぬめりが小腸は大腸よりも多く、腸を平げて包丁で洗うんだけど
4~5cm進めば裏にある脂肪が山になって小腸がくるっとひっくり返る。
それを直してまた洗う。くるっとひっくり返る。
ひたすらこの繰り返しです。

内側のぬめりは灰汁のような感じでした。
こすって洗っていると黄色い脂が浮いてくるような、まさに灰汁。
これは削げば削いだだけちゃんと取れます。
小腸をすべて洗い終わっってオゾン水、ふき取り、カット、真空パックで、また4時間経過。。。
もうだめだ~。という事でちょっぴり小腸を持って帰ってホルモン鍋にしました。

今までホルモン煮ると灰汁が出ていたので下ゆでして捨てていたのですが、この小腸は全く灰汁が出ません!!!
「洗ったかいあったよ~。」と感激しました。

ちなみにホルモン鍋の材料を買いにスーパーに行くとオーストラリア産のホルモンが置いていました。
「おおおお~これ小腸小腸!!」とかなり興奮。
しかし、ぱっと見て内側が真っ黄色。トレイ下にたまっているドリップも黄土色。。。
「あれ?荒洗いのまんまでいいの?これが標準ならめっちゃ楽じゃねえか。」と誘惑が。。。

いやいやガンバロウ。

残すはミノです。
ミノと言えば肌色ですよね。
でも第1胃の状態では絨毛と言うヒダヒダがいっぱいついています。
このヒダヒダから栄養を吸収し、このヒダヒダが繊維を分解してくれる微生物のすみかになるのです。
とはいえ硬くて食べられません。(センマイやハチノスは食べられるのに。。。)

これもヒダヒダの内側と肌色の外側の皮をはいでいきます。
メリメリ、メリメリ、メリメリ。。。
「おおっ、調子いいじゃないか~」と思っていた矢先。

ムリムリムリムリっと皮に身がくっついてバラバラに。。。
見るも無残な事になっちゃいました。

薄いミノが形もありません。
めくれどもめくれどもバラバラに。。。
「ぐちゃぐちゃだがな~!!」
なんとか剥がれたミノを戻し、内皮をめくった後、外側の薄皮めくりに入りました。
ところが、ここでもムニムニムニムニっと薄皮にうっすいミノが張り付いてバラバラに!!!
「な・なんて難しいんだ。素人がいきなりするにはハードル高かったか??投げ出したい・・・」
と思っても仕方ないのです。やるしかないのです。
しかも商品ですからモノも良くして当たり前なのです。

1剥き1剥き慎重に慎重に剥く事2時間。。。
ようやくミノの形になり、オゾン水、ふき取り、パック、冷凍、記帳で2時間。

結局総時間で12時間以上かかってしまいました。。。。

なんにせよホルモンデビューです!!
この経験が夢とみつこのホルモンに活かされるのか???
お楽しみに~。

ひでふくについては「こちら」にもちょっこし書いていますのでご覧くださいね。

今はまだ僕は肉を切る技術がありません。
そのためパックまでお肉屋さんに委託しています。
去年まではホルモンも全て委託でした。

でも、こうやって少しづつ出来る事が増えていけたら楽しいなって思っています。
ありがとう、ひでふく。
ありがとうございますMOMOKAさん。
ありがとう。

*MOMOKAさんは神戸市にあるフランス料理屋さんです。
ひでふく・みつこのホルモンやお肉がメニューに出たら、また皆さんにお知らせさせていただきますね。

*ひでふくのお肉をご予約いただいているお客様へ
改めてお一人様事にメールいたしますが、ひでふくはまだブロック肉の状態で製品化されていない状況です。
大変遅くなりご迷惑おかけしています。
お肉屋さんの手がそろそろ空くそうなので、もうしばらくお待ちいただきたいです。
遅れた分はうしうし新聞の更新に時間を使わせていただきます!
よろしくおねがいいたします。

さあ、書く事いっぱいやる事いっぱい。
出来れば毎日更新しようと思うので見に来て下さいね。

明日は但東町で酪農の削蹄です。
子牛に餌やって、今日はもう店じまい。
また明日!おやすみなさい!!!
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Top▲ | by beefcattle | 2012-11-24 20:36
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