放牧牛肉に向けての取り組み みつこ
2002年11月に田中畜産を創業しました。
その時にいた1頭の牛が「みつこ」。
ふくゆき、ひでやす、ひでみ3、みつこ、おおふく3。
この5頭の牛から田中畜産はスタートしました。
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みつこ以外の4頭は5年以上も前に廃用となり、このみつこだけが10年間ずっと一緒にいた牛だったのです。

みつこは大柄で体積のある牛でした。
しかし、父は鶴光土井とすっごくマイナーな血統。
牛の産肉能力を表す育種価もオールD (Dが一番下です)。
生れも平成7年と超おばあさん牛です。
今や誰かに売ろうとしても、とっても買い手がつかないような牛。
それでも中々更新できずにいました。
田中畜産にとって、本当に大切な牛でした。
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牛飼いを始める時に導入した5頭のうち、4頭を同じ村岡に住む西山さんという方から入れました。
西山さんは40歳で脱サラをされて牛飼いに新規参入された方でした。
導入する牛を見せてもらいに、ドキドキしながら西山さんちへ行きました。
すると、
「僕が就農する時は苦労したんだ。就農祝いに1頭タダであげるよ。」と言っていただいたのです!
そして選ばせていただいた牛がみつこだったのです!!!

初めて会った時に「立派な角だなあ」と思った事を覚えています。
おっとりとした性格で、牛舎にいても放牧場にいてもいつも全く動じず、とてもなついてくれたことを覚えています。
我が家では「みっちゃん」と呼ばれていました。

2年前、鍛冶屋地区の放牧場を使ってくれないかとの相談がありました。
はじめて見た時、そこは2.5mのススキと蔓草のジャングルでした。
もとは急傾斜の棚田だったので、地面だと思って歩いていると足を踏み外し、急に1枚下の田んぼに落ちてしまうこともしばしば。。。
(1枚下の田にも2m以上のススキが生えていて、その上を蔓草が這っているのうえに、そこらじゅうジャングルで見通しが悪いので、【ススキの上を地面と錯覚して】踏み落ちてしまうのです!!)

どのくらいジャングルかと言うと・・・・

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(写真真ん中に2頭牛がいるのですが見えません)

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(拡大してようやく見える。かな。)


どのくらい急傾斜地かと言うと・・・・
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(写真は夢の下牧時。 見通しが良くなっても油断すれば踏み外します。。。)



そんな悪条件すぎる放牧場。
当初放す予定だった農家さんの牛がパニックを起こして逃げてしまったといういわくつきの場所。

「でも、うちの牛なら大丈夫だ!」
そう思った僕は大照放牧場から放牧超ベテラン牛だったみつこを連れてきて放牧しました。
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そしたらあまりのジャングルっぷりにみつこがパニックに!!!!
パニックになったみつこは崖の上を駆けあがり、下の川まで転がり落ちてしまいました。
大騒動です。
お腹には子牛もいるのに。
骨折していれば牛は廃用です。

慌てて下の川に下りました。
いつもあんなにおっとりしているのに、よっぽど怖かったんだ。。。
みつこは川の中で蔓に絡まって動けずにいました。
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と思ったら意外に落ち着いていました。。。

絡まった蔓を切り、どこか上げれる場所を探し、牛の足場をこさえて、何とかみつこをあげました。
結局その年は鍛冶屋での放牧は見送ることとなりました。。。

しかし、そこから2年。
草の短い5月初旬から再度リベンジ放牧をして、こんなにも見通しのいい放牧場が出来上がりました!!
すごすぎます!!!
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あれだけあった草のほとんどがみつこのお腹に入り、肉となってくれました。



正直、みつこだけはペットと言うか寿命まで飼おうかと迷う自分がいました。
そんな経済的な余裕はなかったというのが大きな理由です。
でも、もうちょっと経済的に余裕があったとしてもやっぱそういう選択肢はとらなかっただろうなと思います。
やっぱりペットじゃないんだよね。


屠畜前日、逃げ回っていた「夢」をよそ眼に、「みつこ」は自分から寄ってきました。

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(じっと写真も撮らしてくれません)

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(このみつこと僕のロープのたるみ具合がなんとも言えません。)


みつこは屠場でピストルを打つ瞬間まで、一つも嫌がることなくとことこついて来て、落ち着いていました。

いや、目の前で牛が解体されてんだし、全く知らない所に連れて来られているんだから、落ち着いているというのはやっぱ違うかな?

そりゃやっぱり最後は不安だったろうなと思う。
それでも最後までとことこついて来てくれたのは僕を信頼してくれていたからなんだろうなと思う。
みつこだからだと思う。

「屠場に連れてきて、信頼もなんもあったもんじゃない!」って思う人もいるだろう。
確かにそうかもしれない。

以前、「たにひめ」と言う牛を屠畜した時、ピストルを撃って倒れ、のどにナイフを入れて放血させている最中、かなり暴れた事があった。
その時僕は、慌てて牛の顔をグッと抑えつけながら「ばーばーば。ばーばーば」って言っていた。
ばーばーばーとは牛を落ち着かせる時に使う言葉。
無意識に使っていた。
今まさに絶命しようとしていて、目をカッと開き、パニックになる「たにひめ」の目を見ながら、ばーばーばー(落ち着け落ち着け)と言っている僕を、自分自身で矛盾を感じながらそれでもそう言っていた。
伝わるかな・・・牛との関係、畜主の思い。

みつこはすんなりついて来てくれ、すんなり肉になってくれた。
後ろ髪が引かれるという感じではない
みつこ、もういないんだな。。という寂しい気持ちも少しはある。
早く食べたいという気持ちもある。
届けたいという気持ちもある。
色んな気持ちがあるよね。
「これだ!」なんて答えなんて出せないし、導けないよ。

あんなに体積感のあったみつこも10年ですっかりお婆さんの体型になっちゃったね。
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少しでも届けばいいなと思います。
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ありがとう。みつこ。
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(お肉発想に関するお知らせ)

お肉の発送が遅くなって申し訳ありません。
現在、お肉はブロックの状態でお肉屋さんで保管していただいています。

僕はお肉を捌く技術を持っていません。
屠場で屠夫さんに屠畜してもらい、委託したお肉屋さんが皮をはいで、内臓を荒洗いして、枝肉にしてくれます。
荒洗いされたホルモンは屠畜日の夕方には持って帰り、うちで再度洗いとトリミング、真空パックを行いますが、
枝肉は屠場の冷蔵庫に3日ほど置いておいて、同じお肉屋さんに枝肉からブロック肉まで脱骨などの解体作業をしていただきます。
(飲食店さんにはこの段階で発送しています。)
ブロック肉はお肉屋さんのお店で保管してもらい、後日手のあいたときに焼き肉・切落しなどの商品にしてもらいます。
僕らは真空パックして、冷凍してもらったものを持って帰り、ラベルを張り、新聞や手紙をつけ、包装し発送するくらいです。
(いくらかは家庭用でブロックの時に持って帰ってきて、先に食べてみたりしています。)
現在、ひでふく・みつこ・夢はすべてブロック肉の状態で、商品待ちの状態です。
お肉屋さんも年末と言う事もあり忙しいので、ひでふくは年内、みつこは年が明けてからの発送になると思います。
夢もおんなじくらいだと思います。
たくさんのご予約を頂きほんとうにありがとうございます。
発送までもうしばらくお時間を頂けますようよろしくお願いいたします。
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Top▲ | by beefcattle | 2012-12-05 16:09
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