種雄牛の削蹄
先日、三重県鈴鹿市のAGジャパン様にて種雄牛の削蹄に行ってきました。

家畜としての雄牛は99%が去勢されます。
その中で去勢されずに大きくなった雄牛が「種牛」としての役割を与えられるのです。

彼らはこの偽牝台で精液を取られ、その精液は凍結され、全国に販売されます。
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偽牝台のボタン。
up・down・stopって、なんか去勢する以上に寂しい気持ちになるのは僕だけでしょうか。。。
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この子はこの日の午後から行った滋賀県の牧場にいた雄牛です。
偽牝台で精液は取らず、牧場内のメスに生付け(交尾)するために飼育されています。
全国各地に色んな雄がいます。
しかし、こういった農家さんはまれです。
牧場内で種雄牛を飼育していない農家はなんと!99.999%(←適当ですがそんなもんだと思います。)
畜産業界における【雄】は特別な存在なのです。
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雄牛は去勢牛に比べて角も骨も太く、顔も大きくなります。
蹄の盤も大きくなり、手のひらに収まりません。。。
鳴き声だって「モ~」じゃないです。「ゴ~!」です。
体臭も雄臭く、性格は去勢牛のようにおっとりしておらず非常に頭が良く、人間を見ます。
力もとても強い。

雄牛のじゃれあい。。。

ちょっとしたことでも迫力がありますよね。
以前兄弟子が檻の中で角で挟まれ、持ち上げられたのを目の前で見た事があります。
死んじゃうんじゃないのかと焦りました。(当人でないのに目の前の光景がスローモーションになりました。)

雄牛の削蹄はとにかく無理が出来ません。
力で脚を持とうとすると悪い癖が付き、今後の削蹄に支障が出ます。
1頭1頭がとても貴重な牛なので万が一にも過削できません。
そして、一旦牛のスイッチが入ると人間ではどうもこうもしようがありません。
いかに無理をせず、無理をさせず、牛に足をあげてもらい、素早く、的確に牛に負担のない削蹄ができるか。

画像が悪くて良く見えないですが、この子は何故か右後肢だけ外蹄が異様に盛れていました。
神経をとがらせながら普段の倍以上の時間をかけ、慎重に削蹄していきます。(時間をかけ過ぎると暴れます)

後ろで聞こえるのが雄の鳴き声。
「ゴー!」でしょ。



こうやって精液を販売している雄牛を切る機会なんてめったにないんだけど、こういった経験が凄く貴重な財産になっています。

ここで僕が雄牛を切らせていただけるのは、僕に実力があるからではありません。
亡くなった親方の削蹄師として家畜商としての人脈があって、その中で親方や兄弟子たちが築いてきた実績があって、今のお客さんがある。

ここで切っていると、とどまっていてはいけないという気持ちになる。
もっと上手くなりたい。もっと進みたい。

少しづつですが、僕個人のお客様も増えてきました。
車で20分圏内の農家さんから高知県の農家さんまで様々です。
技術をかっていただける事もですが、僕を選んでいただけること自体がありがたいです。

精進します。

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Top▲ | by beefcattle | 2013-05-17 18:55
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