牛舎③
現在の牛舎について
まずどういった飼い方をするのかが牛舎設計の基本になります。

我が家の牛達はほとんどが経産導入です。
しかも限られた資金で数を集めたために安価な高齢牛が大半を占めています。
そのため親の母乳がほとんど出ず、子牛の発育は期待できません。
子牛の販売がおもな収入源ですからこれは死活問題です。
以前は子牛の生時体重と7日齢体重の差から母親の乳量を推定し、足りない分の乳を追加していました。
これが2~3頭なら出来ますが、多いときには一度に哺乳頭数は25頭くらいになります。
かなりの労力です。
代用乳をすんなり飲んでくれればいいのですが親につけているとなかなか飲まない牛も出てくるのです。
蹴る親もいますし、何日たっても代用乳を嫌がり結局飲まない子牛もいます。
単に哺乳瓶を持っていっても飲まないのです。
代用乳を飲ますためには親の乳を必死に飲んでいる最中にさっと哺乳瓶とすりかえる必要があります。
これが意外と難しい。
たとえ出来ても25頭の牛を1度にその方法で飲ますのは時間的にも無理ですし(哺乳している間に子牛が親の乳を飲み終わってしまう)、1頭飲ませては次の牛を親につけ代用乳を飲ますといったことをしていたら時間がいくらあっても終わりません。
自然哺乳の追い乳は効率が悪すぎます。
今後は母牛の更新も早めていく予定ですが、乳の出る若い牛をそろえようと思えば10年では無理です。
また、若くても乳の出ない牛には結局乳を足さなくてはいけません。
ならばいっそのこと全頭人工哺乳にしようと思いました。
人工哺乳は発情が早くなるなどのメリットもありますし、総合的に考えると十分もとの取れる技術だと思います。
手間もかかりますが管理が効率的に行える牛舎にすることで空いた時間を哺乳に使おうと考えました。

簡単ですが以上のことから管理の面から「人工哺乳」「給餌除糞作業の効率化」を牛舎設計の前提としました。
そのほかに観察がしやすいこと、1頭あたりの飼槽幅を確保すること、換気のよさ、保温対策、各ステージにあった管理が出来ることなど、牛と人が快適で効率的に生産がの出来る場ということを念頭におき考えました。
また資金面からは面積の削減が絶対的な課題でした。
(人件費、材料代、構造強度からのコスト削減は設計士との話し合いにより検討していきました)

まずは牛舎の面積の削減について。
第一候補は産室でした。
産室は一般的には予定日7日前には牛を入れ、分勉後は7日ほど親子一緒に飼います。
普通に使えば1頭に2週間必要です。
産室は分娩時期が続くときなら大量に必要になりますが生まない期間は使わない。
このロスをどこまで削減できるか。
これは先程の人工哺乳をすると決定したことで一部解決しました。
人工哺乳だと生後3日で親と離すためその後の4日は短縮できます。
また観察の徹底により分娩時期を見極め直前に産室に入れることで前半の6日も短縮できます。
この方法はリスクがありますが経験で十分出来る範囲だと思っています。
ただ初産だけは早めに産室に入れますが。。。
これで10日は短縮できたことになります。
色々シュミレーションした結果、常時産室としてみておくべき部屋は2つあれば十分となりました。(3頭以上のときは空いた子牛の部屋が産室です)
これは一般的な50頭牛舎に比べかなり少ない数です。

次に親の飼い方からのスペースの削減を試みました。
まず繋ぎ飼いにしました。
フリーバーンに比べかなり面積は削減できます。
今回の牛舎は親牛15頭を1列とし、3列つくりました。
そのうち2列は尻あわせです。
ようするに母牛だけを一ヶ所にビッと集めたわけです。
自然哺乳ではこうはいきません。
子が親のところに行けるように考えると、結果として場所をとります。
また作業効率が低下し、牛の管理がしにくい面も出てきます。
例えば、片側に子牛の部屋を作り親の所へいけるような牛舎もありますが、これでは子牛の部屋は2~4つしか作れずステージにあった管理が出来なかったりします。
牛床の長さははニューヨークタイストールにすることで通常の和牛の180㌢より短い165㌢にできました。
尻あわせですから計30センチの削減です。
たかだか30センチ、しかしこういったことも積み重ねるとかなり大きいのです。
もちろんニューヨークタイストールは低コストで出来、牛の自由度が高く、牛にとっても資金的にも良いといったことも選考理由です。
ニューヨークタイストールは自然哺乳では子牛の脱柵のおそれがあるために向きませんがこれも人工哺乳により可能になりました。
結果、人工哺乳することでかなりのスペースの削減ができたのです。
1例ではありますがこういったかんじで次々にスペースの削減を進めていきました。


資金があればいくらでも牛舎は大きく出来ます。
また、資金が無いからといって狭い牛舎では牛に負担をかけ削減したコスト以上の損失を生みます。
いかに牛に負担をかけず、効率的で安くあげるか。
確かに「ここをもっと広くすれば」とか「ここをもっとこうすれば」というのはあります。
予算が無限ならいくらでも牛にとって快適な牛舎は考えれます。
しかしあくまで牛舎は商売として牛を生産する場。
資金無限大の牛舎などないのです。
理想の牛舎とは我が家に合った牛舎です。
この「我が家に合った」というところが工夫のしどころで牛舎設計のおもしろいところですね。

次回は具体的な牛舎の寸法をひたすら羅列していきます。
                                   (牛舎④へつづく)
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Top▲ | by beefcattle | 2007-01-11 23:03 | 牛舎
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