カテゴリ:削蹄( 8 )
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蹄の見本
牛の蹄にはこれがベストという普遍的な形はありません。
それは牛の飼われている環境、牛の種類、飼育ステージなど、求められる蹄の形は同じ牛であっても違うからです。

例えば以前ブログにも書きましたが、アフリカ中部の沼地に生息するウシ科の「シタツンガ」。
蹄が長いため泥の中も沈まずにあるけるそうです。
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牛がこんな蹄だと大問題ですが、蹄と言っても色々あるという事です。

ホルスタインの場合、蹄の長さ7.5cm、蹄角度45度50度55度、厚さ5mm 蹄腫の高さ1.5~2cmなど一応の指標はあります。
でも、ホルスと和牛では蹄の大きさも削蹄に対して求められてくるものも違います。
乳牛の場合は蹄病が多く、予防的な観点から蹄角度は高く厚みを残す切り方が主流です。
一方、和牛の肥育では出荷まで1回の削蹄というケースも多いため蹄の厚さが薄くなっても背壁を短めに切ります。
フリーストールのホルスタインの蹄に比べ、少し寝かし、接地面積を大きくとります。

ただ正直な話、何が正しいのか僕にはよく分かりません。
今まで何年も継続して切ってきた牧場で全く問題の無かった蹄形であっても、別の農場によって上手く機能しない事はあります。
削蹄とは、そういった経験を積み上げて更新していくことで少しづつ分かってくるものだと思います。
生き物が相手なのでただ蹄だけを見ていても分かりません。
常に「これでいいの?」「なんでこうするの?」という考えで仕事しないと腕は落ちてきます。

例えば、削蹄の行程を簡単に言うと①背壁を鉈で短く叩き②鎌で裏をすくととてもシンプルなものなのですが、こんな単純なことだからこそ常に考えないと上手くならないと思うのです。

そもそもなんで鉈で背壁を短くするの?
その長さで本当に良いの?根拠は?
自分が良いと思っている感覚から5mm長いとなぜダメなの?
逆に5mm短いと何がいけないの?
意外に思えるかもしれませんが、惰性で切っていると答えられません。

僕は牛が地面に足を置いた時の体重の伝わり方や歩き方で自分の削蹄の判断をします。
その見立てが正しいか、、、、やっぱりわかりません。
でも、分からないから牛を見て、農家さんからクレーム等の意見をいただいて、兄弟子に聞き、座学もし、以前切った牛の蹄を次も切り、色んな削蹄師と付き合って、自分の牛で試してみる。

その中で分かってきた事は、例え間違っていたとしても削蹄師としての財産です。
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そんな中でこの蹄はいつも僕に刺激を与えてくれています。
この蹄は我が家の牛の蹄なのですが、56カ月齢の去勢で生まれてから1度も削蹄していません。

グラスフェッドという穀物を与えず草だけで育てた牛で、冬以外は山で昼夜放牧しています。
餌と環境がこの蹄を作ったのだと思います。

上手く言えませんが僕はこの蹄がとても綺麗だなと思うのです。
僕が普段切る蹄に比べ、この蹄の蹄腫は高く蹄角度も55度とかなり立っています。
蹄底は枯角が完全に剥がれ落ち、馬のように蹄壁で立っています。

この子の足をあげるとつい癖で蹄壁を1枚すいて寝かしたくなるのですが、元気に走る牛を見て何も手を出せないことに削蹄師の仕事の本分を教えられている気になります。
自己満足な蹄でなく、何のために削蹄するのか。
自分を見直す蹄であり、僕にとっての蹄の見本なのです。

「おまえの削蹄は本当にそれでいいのか?」
この牛の蹄はぼくにそう言っているような気がしています。





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Top▲ | by beefcattle | 2014-10-20 17:46 | 削蹄
削蹄鎌2
削蹄鎌を両刃から片刃に変えました。
(両刃も使っています。)
同じ単独保定でも両刃と片刃では鎌の入れ方から運刀、使う筋肉や脚の持ち方まで微妙に違います。

そのため今まで培ってきた感覚がかえって邪魔をすることも多いのです。
この感覚を一度壊す事に正直不安はありました。
また、馴れない中で周りの方にご迷惑をかけることもありました。
でも、おかげさまで最近ようやくちょっとずつこの鎌にも馴れてきました。
馴れるとなかなか良いやつでした。


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片刃に変えた理由は単純です。
僕の肘の痛みが年々ひどくなってきたこと。
このまま今のスタイルで切って行くと年齢とともにパフォーマンスが落ちていくだろうと言うこと。

まだまだ変えたばかりで馴れない事が多いですが、新しいって事は分からない事ばかりで楽しいです。

道具は変わってもつめきりはつめきりですから。
臨機応変に対応していきたいです。


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Top▲ | by beefcattle | 2014-10-19 23:28 | 削蹄
ワラとり
いや~、全然ブログ書く余裕ないです。

書くネタはいっぱいあるんですが、どんどん時が経つので賞味期限切れになっています。

色々迷走しましたが、ここのところ牛の状態がよくなってきました。
その一つが稲ワラだと思っています。

お米を取る時に出る稲ワラ。
草の中では栄養価も消化率も悪いものだけど、やっぱり稲ワラは和牛には必要なものだと日々感じています。

僕の住む美方郡は小さい田んぼが多く、雨の多い所のため稲ワラがなかなかとれません。
大きな機械が入れる田んぼはないし、小さな機械が入る田んぼでも雨が降ればもうそのワラは取れません。。。

また僕は削蹄などで家を開ける事が多く、天気を中心にした牛飼いが出来ないため機械での稲ワラ取りも出来ません。
それでもこの時期は1年を左右する稲ワラ集めに奔走します。

現在、日本中のお米の収穫はコンバインが主流です。
しかし全国各地ではまだまだ人力で干す「架けワラ」があります。

架けワラの干し方は地域によって違いますが、ここ但馬では稲を干すための稲木場があります。
稲を稲木に架けると籾は自然に乾燥され、またワラにある栄養が全てお米に移行するためとても美味しいお米がとれます。
そして、稲木に架けたワラは雨が降っても蒸れて腐ることなく乾燥させる事が出来ます。
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そんな万能な稲木がけ。
唯一の欠点は「手間がかかる」ということ。。。
だから年々稲木がけのワラは減っています。

それでもやっぱり稲木に架けるのって大好きです。
僕が小学生にはいる前、田舎に帰って来ては祖父の田んぼの稲をバインダーで刈り、稲木架けをさせてもらった記憶があります。
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稲木架けは日本の原風景でもあるし、僕にとっての原風景でもあります。
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このワラの全てが多くの方の縁やご厚意で声をかけていただいたものです。

確かに機械を使う事と比べればワラの収量は少ない。
例えば僕が朝5時から夜7時までかけて取ったワラ、大きな圃場で大きな機械を入れれば30分ほどで回収できるものだ。
それでも、ここで取れたワラと頂いた縁を大切に牛飼いをしていければと思っています。

効率を考えれば別の選択肢もあるのかもしれないけど、一見非効率なワラであったりするものが実は王道なのかもしれない。
自分の理屈は事実の一側面でしかないことを、牛は教えてくれます。
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Top▲ | by beefcattle | 2014-10-14 18:45 | 削蹄
屠場で出会った蹄
屠場で出会う牛の蹄は、【伸びに伸びたひどいもの】から【そこそこ収まっているもの】までさまざまなのですが、パッと目を引く蹄に出会いました。

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きれいに整っています。

早速携帯でどこの牛か調べてみると、3か月前に僕らが削蹄した牛だという事がわかりました。
繋ぎ飼いの繁殖牛だったのですが、こんな所で再開するとは非常に複雑な心境です。。。

3か月前に削蹄しているってことは、本来まだまだ現役のはず。
その為に削蹄しているんですから。(もうすぐ屠畜する牛に削蹄はしません。)
何があるか分からないのが牛だなあと思ったものでした。

繁殖牛の場合、1年に1回~2回削蹄をします。
牛の蹄は1カ月で平均5mm伸びると言われています。(飼育環境や削蹄の仕方によって伸び方は全然違ってきます。)
その為、僕らが牛の蹄を上げて見る時には「かなり伸びた」状態なんです。
今回のように切って3カ月経ったの状態の蹄を、ゆっくりと、いろんな角度から見る機会はなかなか無く、とても興味深かったです。

この牛は僕が切ったのか、兄弟子が切ったのかまでは分かりませんが、親方から伝えられてきた削蹄法というのは間違ってないなと感じる事が出来た日でした。

まだまだ未熟ですし、怪我もするし、体は酷使するし、クソだらけになる仕事ですが、削蹄は突詰めたいと思える仕事です。

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(左が前肢、右側が後肢です。)
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Top▲ | by beefcattle | 2014-02-17 23:03 | 削蹄
短角牛の蹄
今日も削蹄でした。

削蹄に行くと色々な牛を見る事が出来ます。
色々な農家さんとお話しする事が出来ます。

今日は久しぶりにジャージーの子牛とご対面しました。
さすがにジャージーは可愛いです。
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でも、やっぱり一番好きなのは黒毛和種。
その中でも但馬牛はやっぱり好きだ。
品があるというか、綺麗な牛だと思う。(写真はこないだ生まれたうちの牛です。。。)
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黒毛和種とは一般に和牛と呼ばれている品種です。
但馬牛はその中でも特殊な「系統」になります。

そもそも和牛とは各地域の日本在来の牛に、それぞれの地で外国のショートホーン種やアンガス種などを交配させて改良された品種です。(海外の牛が改良に使われたのは、ほんの一時期だけでしたが。。)
そのため和牛といえどもそれぞれが全然違う牛となります。

和牛には全体の90%以上を占める『黒毛和種』を始め、岩手の『日本短角種』、高知系の『褐毛和種』、熊本系の『褐毛和種』、山口県の『無角和種』があります。
また、日本短角種に黒毛和種を交配させるなど『和牛間の交雑種』も和牛と表記されます。

その他に、国産牛としてホルスタイン、ジャージー、ブラウンスイスなどの乳用種や各品種間の交雑種、また世界3大肉用種であるヘレフォード、アンガスなども国内で飼育されています。

ここらへんを書き出すと長くなるので割愛させていただいて、簡単に言うと【牛と言っても色々な種類がいる】と言うことなんです。(←簡単に言いすぎました)

品種の見分け方は毛色の違いが一番わかりやすいのですが、実は体型も品種間で違います。
更に言えば蹄も品種で違います。

蹄の色はもとより、蹄の質が違うんです。

黒毛和種の蹄は粘りがあります。
逆にホルスタインの蹄はぼろぼろしているというか、粘りのある蹄に対して「さくい(方言かな?)蹄」と言います。
鎌を走らせた時の感触なので言葉での表現が難しいのですが。。。

同じ黒毛和種でも但馬牛はよく伸びる蹄です。
同品種の中でも系統でも蹄質に違いがあります。

今回初めて日本短角種の削蹄をしたのですが、同じ和牛の黒毛和種よりもホルスタインに近い「さくい」蹄で黒毛とホルスの中間のような蹄でした。
確かに良く見れば毛色は全然違えども、体型も顔つきも乳房も改良前のホルスタインににています。
目の周りや鼻の色もホルス寄りな気がします。
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以前日本短角種と同じ褐色の褐毛和種を高知県で切らせていただきましたが、褐毛和種(高知系)は蹄も顔も黒毛和種に近かったです
日本短角種も褐毛和種も黒毛和種のようにサシがびっしり入る牛ではありませんが、黒毛に比べ強靭で放牧特性があります。
特に日本短角種は乳がすごくでるので、山林に親子放牧していても子牛が丸々としています。

話を蹄に戻します。
僕は肥育農家農家じゃないので肉の事は詳しくありませんが、感覚として蹄が粘っているほど肉のキメも細かく、蹄がさくくなるほどキメは荒い気がします。
兄弟子は短角は「(遺伝的に)脂が少ないのかな?」と言っていましたが、真相は分かりません(笑)
でも、そうやって実際に牛を見て、触れて、蹄を切って、色んなお肉を食べて、感じた事って言うのはあながち間違っていないと思うのです。

もちろん飼養管理で肉質は変わってきますし、飼養環境で蹄質は変わります。
その上でやはり品種間の違いはあると感じています。

それは良い悪いでなく牛の特徴であり、小さな蹄からでも見てとれるものはたくさんあると思うのです。

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Top▲ | by beefcattle | 2013-10-25 21:16 | 削蹄
血が出るまで砥げ
久しぶりにパソコンの前に座り、インターネットをしましたが、久しぶりなのでなんか落ち着かないというか、集中できないですね。。。

僕はと言えば、6月初旬に膝の靭帯を切ってから削蹄業を休業していました。
痛みはまだありますが、お医者さんからのOKをいただき、9月からバリバリに現役復帰しています。

また、その他もろもろ水面下では動いていますが、そこら辺もおいおいブログにも書いていければと思います。

今日は削蹄のお話。

僕がしている削蹄方法は単独保定と言って、枠場を使わず人間が牛の脚を持ち、主に鉈と鎌を使って牛の蹄を整えていくやり方です。
ここで大事なのが兎にも角にも牛の保定。(牛が動かないように繋ぐ技術、足を持つ技術)
それに加えて大事な要因が道具の切れ味なんです。
これは鍛冶屋さんの時点でかなり左右されるのですが、砥ぎ方によっても切れ味は全く変わってきます。

蹄の切り方に合わせた砥ぎ方があり、兄弟弟子間であっても各々砥ぎ方は若干異なります。
昔から「女房貸しても砥石は貸すな(←すごい言葉ですね・・・)」というくらい、他人の砥石は合いませんし、砥石を貸すと狂います。

一般的には削蹄鎌は片刃なのですが、僕は削蹄の際に両刃の鎌を使います。
砥石は#1000の中仕上げ用。
#の数字が上がるほどキメの細かい刃物になりますが、削蹄で使う時は小石などが噛んでいる場合もあり、砥ぐ時間と切れ味のバランスを取ると#1000は良い砥石です。

#1000は素早く砥げて刃こぼれも少なく、現場よりの砥石だと思います。
その他に粗砥石#220も使います。

この刃物を研ぐという作業は一見簡単なようで奥が深いのです。
削蹄を始めた当初は、1つの鎌を砥ぐのに3時間も4時間もかかって、それでも切れないものでした。

つるつるの砥石であっても6時間も7時間も砥いでいると、指が擦れて血が出てきます。
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血が出るまで砥いで砥いで、やっと研いだ鎌を現場で使ってみると蹄が切れず、また考えて1から砥ぎ直す。
この繰り返しをひたすらする事で自分なりの鎌になってくるのです。
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(利き手があるので表と裏で仕上がりが違います。)

今回久しぶりに現場復帰という事もあって、砥石を新調し、今までの鎌を全て1から砥ぎ直しました。
指から滲む血を見て、何だかすごく懐かしい気持ちになりました。

写真は新しい粗砥石と使い込んだ粗砥(#220)。
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横から見ると・・
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こちらは松阪で見せていただいた両刃の削蹄鎌。
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全然砥ぎ方が違います!

僕だったらこの鎌では削蹄出来ないな~。
色んな砥ぎ方があって面白いです。

「血が出るまで砥げ」

削蹄師としてはまだまだですが、これも一つの道だと感じています。
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Top▲ | by beefcattle | 2013-09-20 17:54 | 削蹄
削蹄の効果
牛は偶蹄類に分類され、その蹄は2つに分かれています。
細かい事言えば後ろに副蹄が2つついているので4つなんですが、どちらにせよ偶数なので偶蹄類。

この主蹄は人間で言えば中指と薬指にあたります。
なので牛は何百キロという体重を指で支えているということになります。
その蹄は環境によって千差万別に伸びます。
当然ですが伸びると体重のバランスが悪くなります。
そのために削蹄をし、牛の体重を均一に分散させてあげる必要があるのです。

そもそも何でわざわざ「指」で立っているんだ!!と思うのですが、ベタ足だと瞬発力が出ないんですよね。
つま先と指でかまえるクラウチングスタートを、オリンピックの100m競争などで見た事があると思います。
同じ原理で、外敵から身を守るために、いかに早くトップスピードに持っていけるか、それを追求した結果が「蹄」だったのでは。と個人的に思っています。

「削蹄の効果」というタイトルですが、正直中々すぐに目に見えるものではありません。
逆に、削蹄をしない事の弊害の方が分かりやすい。
今回は簡単に写真を使ってお伝えできればと思います。

削蹄と言うと「蹄を短くする」というイメージを未だに持たれている農家さんが多いです。
蹄は前と下に伸びて行きます。
つなぎ牛舎などの牛が歩かない環境下では先端は削れず、蹄の先がどんどん伸びて行きます。
コンクリートなどの蹄底が削れる環境下では蹄の裏は摩耗します。
例えばつなぎ牛舎で床にゴムマットを敷くと、牛にとっての快適性が上がりますが、蹄の先も裏も摩耗しないので舟形(バナナ型)に蹄はグングン伸びて行きます。

そんな色んな環境下で、乳牛であったり、子牛であったり、雄牛であったり、肥育牛であったり、肥育でも出荷半年前の牛であったり、とにかく色んなステージや条件でそれぞれの牛に合わせた削蹄があります。

そんな中で結構に目にするのは、「削蹄師に頼むとお金かかるし、伸びた先端だけ切って短くした」というパターンです。
一見上から見れば、長かった蹄が「短く」見えます。
しかしこれだけだと、牛にとってすごく負担が大きいんです。
先端だけとるなら切らない方がまだ良いくらい。

削蹄は「蹄を短くすること」ではなくって、「牛の負担を減らすこと」。
・・・とか言うと「知ったかぶんな!!」と兄弟子のお歴々に怒られそうですが、まあ、そう思っています。

では、実際に見てみましょう。
こちらはつなぎ牛舎での繁殖牛の前脚です。
伸びていますが、蹄の付け根に負担がかかっているのがわかります。
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これを鉈でたたき落とし、
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裏を鎌ですいていく(負面を作っていく)と
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こうなります。
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適切な負面を作る事で、体重が蹄に真っ直ぐ乗っています。
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こちらは後脚。
蹄の負面ばかり摩耗して、先端が伸びています。
体重も蹄に真っ直ぐに乗っておらず、副蹄の下あたりが伸びて牛の負担になっています。
こういう牛は結構普通にいます。
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削蹄後
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先端を短くし、蹄角度を付ける事で体重が蹄に乗りました。
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この蹄角度は乳牛のフリーバーンでは52度~54度、つなぎ牛舎では45度など、一定の指標があります。
ただ、これはあくまで指標で、削蹄中はそんなこと考えて切っていません。

今まで親方から兄弟子へと積み重なってきた牛と蹄の形が自分の中に感覚としてあって、「この牛はこんな感じの蹄」と、牛を見て頭で描いた形に近づけて行く感じです。
結果的に肥育牛は安定性を重視するので繁殖牛に比べ蹄角度は浅くなったりしていますが、あくまでそれは牛を見て蹄を切った結果。
でも、言うは易くで、その「牛を見る」という事が全然足りてないなと、いつも現場で思います。言われます。
なのでもっともっと牛を見て、牛に合わせた削蹄ができるようになりたいです。
リハビリも順調で、9月には現場に復帰できそうです。
がんばらなくては。。。


おまけ。
削蹄途中であえて蹄角度をきつくとるために負面を小さくして、蹄を立ててみました。
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これはさすがにやり過ぎ、非常に不安定です。

おまけ2。
生まれて1週間の子牛の蹄。
角度は55度くらいでした。
子牛は軽いからこれでいいんでしょうね。
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削蹄の効果、ちょっとは伝わったかな。。。。
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Top▲ | by beefcattle | 2013-08-07 13:17 | 削蹄
かわいさ
子どもという者はほんとうに可愛くて、犬っころであっても猫っころであっても大抵は可愛さで許せてしまうものです。

何が可愛いかというと、僕は『手・足』だと思うんですね~。
子犬も子猫も小さい頃は短足でむくっとしていてかわいいですよね。
我が家の3番目も生まれて半年を過ぎました。
この使っていない(鍛えていない)まっさらな状態の腕や手足のむっちむち感は、まさに職人の手の対極。
これは極致だと思います。
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実は生まれたばかりの子牛の蹄もプニプニしています。
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牛の蹄は水分を含むと柔らかくなります。
羊水に浸かっていた子牛の蹄は当然柔らかいのですが、それに加えて負面(地面につく面)がもっこりと盛れています。
このもっこりが消しゴムのように微妙に柔らかい。
柔らかいと言っても子牛が立てば凹む感じではなく、もっこりのまま。
ただでさえ生まれたてで足フラフラなのに、負面が盛っているので子牛も立つのが必死。

「ああ、最初から立つのに適した蹄じゃないと、不便じゃないか!敵にやられちゃうよ!」と、つい思ってしまいます。
でも赤ちゃんってそういうものと言うか、そういう矛盾点や不完全さがかわいいのではと僕は思うのです。

そんな子牛も生後1週間もすれば、地面との摩擦で負面はこんなふうに平らになってきます。
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負面が平らであることは体重を支えていく上で基本中の基本なので良いことなんですが。
なんだか残念なような嬉しいような。。。

ちなみに蹄は前だけではなく下にも伸びるので、飼われている環境が蹄の摩耗しにくいところ(深いおがくずの上など)だと、再び負面は盛ってきます。
それは見ていて痛々しい。。
削蹄してください。

生れたばかりのこの無防備なまでの蹄は、子ども特有の『可愛さ』と思ってしまうのは、牛飼いだからなのか、僕が変わっているからなのか。
いずれにせよかわいいと思う気持ちは、大切に大切にしていきたいと思います。
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Top▲ | by beefcattle | 2013-07-30 22:48 | 削蹄
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