カテゴリ:牛( 51 )
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『みち』
『道』

この道を行けばどうなるものか
危ぶむなかれ
危ぶめば道はなし 
踏み出せばその一足が道となり
その一足が道となる 
迷わず行けよ
行けばわかるさ
ありがとーう! byアントニオ猪木

は、置いといて。(すばらしく勇気の出る言葉です)

今回は
『みち』です。

三重県桑名市で繁殖肥育一貫経営&お肉屋さん『山嘉』をされている武藤さんから連絡をいただきました。

3年前に子牛市で買っていただいた牛を今日屠殺場に連れて行ったとのことでした。

その子牛の名前が『みち』でした。

みちとは先日削蹄に行かせて頂いた時に再会してきました。

めちゃくちゃ大きくていい牛でした!

絶対食べなきゃいけないと思って、武藤さんに「肉にする時は買うんで言ってくださいね」って頼んでたんです。

39ヶ月弱も飼っている牛なんてめったに食べられません。

しかも雌で但馬牛。

どんな味なんだろう。

我が家の牛を食べる時は少し複雑なのですが、我が家の牛だからこそめっちゃ楽しみです。

武藤さんから「最後までよく(餌を)食べてくれました」と言っていただきました。

この一言が繁殖農家としてはとてもうれしいんです。

最後までよく食べるためにはしっかりした胃袋を子牛の時に作っとかなければいけません。

病気や怪我が無く育ってくれなくてはいけません。

ようするに『みち』は生まれてから肉になるまでスクスク育っているってこと。

だから、そんな言葉を頂くととてもうれしい。

もちろんそれは武藤さんの飼育管理の賜物です。

それなのに、「一馬君とこの牛よく食べるで」と喜んでいただけること。

すごくありがたいです。


この「みち」のお母さんの「みつこ」は僕が牛飼いを始めた時に最初にそろえた5頭の牛の1頭。

今いる牛の中で残っているのはその「みつこ」だけ。

だから、すごく思い入れのある牛なんです。

しかも、この「みつこ」は近所の農家の方が就農祝いにとプレゼントしてくれた牛なんです!!

ほんとに沢山の人に支えられて牛飼いをさせていただいています。

ありがとうございます。


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Top▲ | by beefcattle | 2009-07-13 23:39 |
育種改良牛の選定(つづき)
以前書いた【育種改良牛の選定】のコメント欄で「それ、どんな牛ですか?」とご質問を受けましたので1頭紹介させていただきます。


その牛とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『ひでくに3』でした~!!!

ってわからないですよね。


この子はまたマニアックな牛なんです。

市場価値はものすごく低い牛。

ただ血統が少しマニアック。

だから選定対象になったんでしょうね。



以前但馬牛は和牛の中でも純血の品種と書きましたが、但馬牛の中にも系統があります。

系統は男系と女系から見ます。

男系(雄の血統)には中土井系・熊波系・城崎系の3種があり、中土井の中でも菊美系・安美系があり、そこからまた細分化していきます。

と言いつつ、但馬牛は実際ほとんどが肉質の良さから中土井系なんです。

これじゃあ遺伝的多様性が維持できないということで兵庫県は熊波系や城崎系の保持に力を入れています。

でも熊波系や城崎系は高値で売れないため頭数が増えていないのが現状なのです。

但馬牛を残すためにはそういった牛も必要。

だけど生活があるから中々そんな牛を飼えない。

なんとももどかしい但馬牛事情です。


話は戻り、『ひでくに3』という牛。

何がマニアックかというと熊波系の濃い牛なんです。

わかる人にはすぐわかるのですが、かけ合わせは茂美波の兄弟に茂美波・・・・・・。

茂金波濃すぎです。



牛飼いでないかたのために、どれだけ血が濃いか説明すると

昔々、『くにみの1』という1頭の雌牛がいました。
この牛に熊波系の代表牛『茂金波』という雄牛の種をつけ『くにやす』という雌が生まれました。
なんとその『くにやす』に父である『茂金波』の種をつけ『くにしげやす』という雌が生まれます。
この『くにしげやす』に『安南土井』という種を付け生まれたのが『ひでくに3』(同じ名前ですがうちにいる牛のおばあさん)
(ちなみに『安南土井』の母方の祖父はまたまた『茂金波』!!!)
この『茂金波』の血が濃い『ひでくに3』になんと『茂金波』をつけた牛が『茂美波』という雄牛。
同じく、この『ひでくに3』に『第2鶴雪土井』(この牛は熊波系と違う)という種をつけたのが『ひでつる』という雌牛。
『ひでつる』と『茂美波』は父親違いの兄弟。
どちらも『茂金波』を濃く受け継ぐ牛。
この『ひでつる』になんと『茂美波』をつけたのが、我が家にいる『ひでくに3』なんです。
伝わりますか?
血、濃すぎです・・・・

この子牛は牛市で購入した牛なんですが、この子の兄弟や親戚がよく双子を生んでいたので「双子産まんだろうか」と半分冗談半分本気でボタンを押して買った牛でした。

どう転ぶかはわからないけど、今ではありえない掛け合わせ。

せっかく我が家に来たんだし、大事に飼おうと思います。

がんばれ『ひでくに3』!!!



あ、残りの2頭は『ときふく』(幸福土井×菊照土井)と『ゆきひめ』(照波土井×照長土井)でした。
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Top▲ | by beefcattle | 2009-07-12 01:17 |
ただいまレポート【育種改良牛の選定】
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今日は育種改良牛の選定の日です。

我が家からは3頭。

兵庫県の農業試験場、県庁、和牛登録協会、家畜保健所、農協と大人数で選抜に来ていただきました。

育種改良牛とは将来の但馬牛の基盤となる牛だそうです。

と、言いつつ実は僕もよく分かっていません。。。

簡単に言うなら特色のある系統をつくろう!という感じらしいです。

但馬牛は県内閉鎖育種と言って兵庫県以外から血液を導入しません。

その中でも僕らの住む美方郡はさらに閉鎖していて、美方郡以外からの血液を入れません。

具体的に言うと
僕たちが飼っている雌牛には兵庫県が管理している雄牛の精液しかつけられないってことなんです。

もちろんその雄牛は兵庫県生まれの但馬牛。

美方郡に住む農家の場合は兵庫県美方郡生まれの但馬牛の種しかつけれないんです。

だからどうしても血縁が濃くなってしまいます。

さらに高く売れる血統がでてくると、みんながその血統を求めるため、ますます但馬牛の血は濃くなります。

そうなると但馬牛の血統は単一化してしまい、改良ができなくなってしまいます。

だから今日のように、特色のある変わった系統や育種化(牛の偏差値)の高い牛、希少な系統を選抜するそうです。

そして後日、その雌牛に兵庫県が指定した種をつけ、そこで生まれた雌を保留牛として我が家に残したり、雄を兵庫県が買い取り、県の種雄牛にすることで但馬牛の血統の多様性を確保していくのが今回の選抜の目的です。

いやー、小難しいですね。

要するに、「ちょっと変わった牛も残そうよ。」
って感じです。

では、ちょっと変わった牛とはどんな牛なんでしょうか?

続く
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Top▲ | by beefcattle | 2009-07-09 13:22 |
あ痛たたたシリーズ①「鎌」
牛はおとなしい動物です。
でも牛にも色々います。

神経質な牛、人には温和しく牛には厳しい牛、攻撃的な牛、頭の良い牛。。

削蹄に行くと色んな牛に出会います。
血統や産地、飼い主。
雄、雌、去勢、月齢。
色んな要因で様々な性格の牛がいます。

削蹄は牛の足を持ち上げ鎌(両刃)や鉈で切るので一歩間違えば人も牛も大事故です。
だからよく牛を見て切れと言われます。
でも焦ってくると蹄しか見えなくなります。
その時、痛い目にあいます。

そんな痛い目をシリーズでお伝えします!
第一段は「鎌」です。

牛の足を力ずくであげると、牛は暴れたり体重をのせてきます。
無理な体勢で蹄を切ることになり、気づけば指をサクッと切っているのです。
切るのはたいてい左手の人差し指か中指の腹。
勢いがありすぎると指の腹から爪まで真っ二つ。。。
ただ、削蹄中はアドレナリンが出ているのであまり痛くありません。
「うわっ、やってしもた!くそっ!やったるぞ!!(削蹄を)」てなテンションです。
しかし、傷口に入った糞を洗う時。
し、し、しみるー!!
ここでようやく現実に(笑)
削蹄始めたばかりの頃によくやりました。

次回は「蹴り」です!
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Top▲ | by beefcattle | 2009-06-18 14:56 |
みかた和牛会
みかた和牛会という組織がある。
兵庫県美方郡の35歳以下の牛飼いからなるグループ。
僕も入っている。
毎年35歳を超えて引退される方が出るのだが、同時に新しい牛飼いも入ってくる。
発足して4~5年が経ち、現在は10名ほどの牛飼いが所属。
今年はなんと10代の若手後継者が2人も入ってきて、すごくいい感じ。
こうやって若手が集まれるのは楽しい。

そんな「みかた和牛会」の取材が先日うちの牛舎であった。
10分ほどだが4月12日(日)12:00~サンテレビで放映される。
ぜひ見てくださいね。

今回は数名の若手の牛飼いがインタビューされていた。
それがすごく楽しみ。
みんな何言ってたんだろう?

僕自身は新規就農者ということもあり、就農1年目からずっと色々なメディアに取り上げていただいた。
でもそのほとんどが物珍しさからくるもの。
僕自身には実力も実績もまったくなかった。

一方、美方郡には色々な若手牛飼いがいる。
高校中退して削蹄一筋で15年以上黙々とされている方。
種雄牛の育成に力をかけている方。
繁殖肥育一貫経営や多頭飼育の先駆けとなった後継者の方。
一から牛飼いをはじめ、200頭以上の頭数まで増やし続ける全国レベルの方。
僕なんて足元にも及ばないくらい牛を知っている方がいる。
そういった方が但馬にはいるってことをもっともっと知ってもらいたかった。
だから今回、いろんな若手牛飼いが取材されていたことが自分が出る以上にうれしかった。

取材中、僕の削蹄の兄弟子が若い子たちに爪切りを教えている場面があった。
みんな真剣に聞いている。
それを見て涙を浮かべている熱い公務員もいた。(残念ながら4月から転勤に・・・)
みんなで一丸となって何かを成し遂げるって最高に楽しい。

僕はこの「みかた和牛会」をもっともっと面白い会にしたいと思っている。
探り合う関係なんてうんざりだ。
馴れ合いじゃなくって、成長し合える仲間でいたい。

今はまだ
「経産牛の放牧牛肉の商品化しよう!」
というと
「まあ一馬君、そんな難しいこと言うないや」
と混ぜ返されてしまう。
相手にされない。

それを以前は人のせいにしていたけど
これはまだまだ、僕が牛飼いに本気じゃないってことなんだなと気づいた。
「何を言うかよりも、誰が言うか」なんですよね。
がんばります!!

たとえば・・・・
僕「放牧牛の商品化しよう」
Aさん「そんなことよりまずは子牛を高く売ることだ」
Bさん「それもそうだけど売り上げは自分で決められないよ。経費を削減することを考えよう」
Cさん「安い餌を買うために共同購入しよう」
Dさん「その前に繁殖成績を上げよう。経費削減の基本だろ」
N先生「実はこんな方法があるけど・・・・」
全員「よし、とりあえず試験してみようか。」
・・・・・・・・
かなり簡単に書いたけど、こんな風にみんなで言い合えたらいいな。
その中で、自分たちが目指す方向を一緒に考えていきたい。

誤解されやすいのだが、
僕は放牧牛肉をみんなに押しつける気は全くない。
否定されたっていい。(実際にまだまだ穴だらけだ)
それよりももっと話したい。
探り合ったり、茶化したりするだけではなく、もっと真剣に話せる環境にしていきます!!
それが出来るのが「みかた和牛会」だと思う。
(いつも浮いてしまうのですが・・・・チャンス!!)

みかた和牛会、今年はやるぞ!!


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Top▲ | by beefcattle | 2009-04-06 22:41 |
牛の足持ち
おはようございます!
今日も削蹄です。
ここのとこ毎日のように削蹄があり、腰を痛めてしまいました。。。
立っても、歩いても、座っても、寝ていても、痛くて同じ体勢が10分もたない。
おまけに力が入らない感じです。
悔やんでも仕方ないのでプラス受信でいきます。
色々思いつきますが、あえて一つあげると。
「足持ちの技術を上げるチャンス」
ですね。
削蹄では牛の足を持ち上げて爪を切ります。
爪を切る技術も大切ですが、その前の足持ちが出来ないと切るどころではありません。
僕はまだまだ未熟です。
親方は66歳になっても足を持ち上げて切ります。力だけではない技術があります。
大きな牛になると1000キロを超えます。
牛が自分で足を上げるるように持てば0キロの重さですが、嫌がって乗ってくれば100~200キロの重さを支えて切らなくてはいけません。
これがちゃんと出来ないといつまでたっても腰を痛めてしまいます。
体が丈夫だと無理して力で持つのでなかなか上手くなりません。。。
腰を痛めた時がチャンス!頑張ります!
(帰ったらしっかり休みます!)
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Top▲ | by beefcattle | 2009-04-04 09:41 |
子牛の育成は難しい5
11月半ばになるとさすがに放牧場の草も減ってきました。
放牧場は半分は森林です。
牛たちは間伐をした木の葉をたべていました。
量の確保が難点ですが、十分木の葉も飼料になるんだとびっくりしました。

子牛の表面はバシバシの立った毛でしたが、触って見るとびっくりするくらいの密度のある柔らかい毛が下にはえていました。
子牛の糞は少し固め、握りこぶしの半分くらいの大きさで、見た感じはもう少し栄養が必要かと思うような(スターター食ってない子牛の糞に似てる)糞でした。

だけど、あえて補助飼料もやらず、牛の体調だけに気をつけて、ひたすら牛を見ていました。

そして、うっすら雪が積もった12月初旬、子牛を下山させました。

つれて帰った時は「標準よりやや小さいかな」「このレベルの発育の牛は普通にいるね」という評価でした。

つづく
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Top▲ | by beefcattle | 2009-03-28 21:49 |
子牛の育成は難しい4
8月に放牧場で生まれた子牛の「夢」は僕の心配をよそに元気いっぱいでした。
発育も大きいとはいえませんでしたが、標準の範囲で順調に伸びていました。
雨が降っても、気温が下がっても、暴風雨のときも、雪が降っても子牛は元気でした。
「すごいもんだなあ、これが本来の姿なのかなあ」
子牛を見ながら僕たちは話していました。

結果から言えば生後2ヶ月からの発育が悪かったです。
この発育の悪さは想定内でしたが、初期発育は良かっただけに「このままいくんじゃないの」とへんな期待がありました。
甘いですね。

思い返せば10月下旬からなんだか伸びが悪いような気がしていました。
あんまし大きくなっていないんじゃないか・・・・
なんとなくそんな気がしてきました。

ただ、子牛自体は非常に元気でした。
これは僕の主観だけでなく、多くの畜産農家や農業指導員の方の意見も一致。
なのに大きくなっていない。

それもそのはず、スターター(子牛の離乳食、穀物)もやらず母乳と生草が主食です。
2ヵ月半たって親の母乳も減ってくる、草の栄養価も落ちてくる。
大きくなるはずがありません。

それなのに子牛自体はものすごく元気でした。
便の状態も、顔の表情も、歩き方も。
だから、大きさを基準にせず、体調を基準としてそのまま12月までそこで飼育することとしました。

つづく
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Top▲ | by beefcattle | 2009-03-24 23:53 |
子牛の育成は難しい3
ただいま削蹄帰りです。今日はこてんぱんにやられました。。。
今日のお相手はぶりぶりのメスでした!
肥育のメスってなんであんなに神経質なんでしょう?


話はもどりますが、放牧での子牛育成にリスクがあるのは十分わかっていました。
途中で引き上げることも頭においていました。
だからかなり神経質になりながらの挑戦でした。
分娩が夏になるような牛で、若くて乳の出る大きな親。
付ける種も増体のくる牛にしました。
放牧頭数も少なめにして草が豊富な状態をキープするようにつとめました。
放牧場は山林もあるのですがチモシー草地もあり、条件は悪くない。
分娩前夜からは泊まり込み、出産に備えました。(結局夜中に牛が林の中へ逃げて見失いましたが..)


生まれて来た子牛は思っていた以上に元気で、想像以上にすくすく育ち、見にきた牛飼いの方も驚かれるくらいでした。

つづく
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Top▲ | by beefcattle | 2009-03-24 14:18 |
子牛育成は難しい2
我が家は開始当初から資金的な事もあり、良い血統の牛も若い牛もそろえられませんでした。
だから少しでも市場価値の高い子牛を育てようと技術や知識、理論ばかりにこだわっていた時期がありました。(今でも大切だと思っています)

そんな僕だから放牧場で産ませ、スターターも配合飼料もやらないで子牛を育てるなんて、最初は不安の固まりでした。
実際にそのやり方で子牛を死なせている農家さんを何件も知っていました。
さらに世界的にも国内でも非常に小さく、管理が難しい但馬牛を放牧で子牛から飼うというんだから理屈では「ありえない」「無謀」「普及しない」
そんなことは僕自身が一番よくわかっていました。


あ、到着でーす。
ツメ切ってきます!
ごっついツメがシュッとすっきりしてテコテコテコと牛が歩く姿を見るのは気持ちいいですね!

つづきはまたまた
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Top▲ | by beefcattle | 2009-03-24 07:14 |
"Fallen Leaves" Skin
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