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放牧牛肉(グラスフェッド・但馬牛) 「夢」 その5(牛肉編②)
さあ、ぼちぼちお肉編も書いていこうと思います。

さて、夢を枝肉からブロックにした後、さっそくトウガラシを1本食べてみました。
トウガラシとはウデの部分でトウガラシに似た形からそう呼ばれています。
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いつもネックやトウガラシはいつも切落しやミンチにしかならないので、「どうせミンチになるなら」と思って持って帰ったわけです。
早速ビーフシチューに。。。
いやいや、その前に、やっぱ塩だけで食べたい!!

実は以前oさんのブログの【トウガラシ実食編】でトウガラシの事が書いてあって、ずっと食べたかったのです。
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感動でした。。。
めっちゃくちゃ香ばしい!!美味すぎ!!!全然硬くない。
後で夢の赤身のすき焼き用スライスを食べましたが、断然トウガラシの方がおいしい!!
こんなにも味のある部位なんだと感動しっぱなしで、興奮が止まりませんでした。
ビーフシチューにしても美味しいけど、やっぱり焼いた時の香ばしみ。素晴らしいの一言に尽きます。
後日、ネックもビーフシチューにする時に焼いて食べましたが、ネックはやっぱ筋引きしないと硬いね。
でも噛めば噛むほど味がある。
サーロインやヒレなんかは柔らかくて良いんだろうけど、味で言ったら断然動きの多い部位だなと思いました。
ネックも焼いて食べたら香ばしくってめちゃうまい。
でも、トウガラシはそれを超える美味さでした。
次回からはトウガラシとして販売しよう。。。

今はまだ色んな部位をミックスしてカットを委託しているけど、もっともっと肉の事を知りたいと思います。
熟成、カッティング、加工。
一気に色んな事はできないけど。
1つずつ、ちゃんと理解して、一番喜んでいただける形で届けたい。
そう強く思いました。

でも、その前に繁殖農家として、削蹄師として、もっともっと『牛』のことを知らなければいけません。
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(牛肉編③につづく)

※放牧牛肉、放牧敬産牛肉は『こちら』でひっそりと販売中です!!
草の甘みのある牛肉です!是非是非ご賞味くださいね~。
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Top▲ | by beefcattle | 2013-04-29 19:45
2013年、放牧スタート!!
いよいよ放牧のシーズンです。
今年は例年になく雪が少なかったため、放牧時期が大幅に早まり、4月27日に放牧を開始することができました!!

さすがに山林はまだ草が生えていません。
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一方草地はまだ草丈が短いですが日に日に育ってきてくれています。
早い段階で、少ない頭数を放すところから、放牧場と牛を管理していこうと思います。
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まずはメイン放牧場である大照放牧場(12ha)に先発隊6頭が出陣。
この他にも同じ小代地区に3haの放牧場を借りていますが、こちらはまだまだこれからが整備です。
今年は全部で20haを目標に、更に新しい放牧場確保にむけて動いています!

そして、問題の昨年拡幅した大照放牧場のジャングル。
今年は【抜根~牧草の播種】まで向かいます!
向かえるはず。。。

知らない方のために、どんなジャングルかと言えば・・・
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すごいでしょ。
これが夏には一斉に葉っぱを出すから、まさにジャングル。

拡大したらこんな感じ。。。   鳥の巣かい!!
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これ全部キウイなんです。
十数年前にキウイ畑だったけど、1年で耕作放棄地になり、そこら中の木に蔓を伸ばすキウイ。。。
秋にはキウイ生えまくりで、すごくもったいないけど、切ります!
どんな放牧場になるかな~。今からドキドキです。

実は今回こんなにも早く放牧を開始できたのは、残雪を蒸発させるくらい熱いかたがたの応援のおかげでした。

昨年のマイコプラズマの事故から資金繰りがとてもシビアになっていて、僕の体調も含め八方ふさがりの状態の時に、地元の但馬信用金庫の友人がコンサルに来てくれたんです。
その友人は地域活性化に半端ないくらい情熱をかけている人で、「地域が元気になるには、そこに住む、そこで経営する【人】が元気でなくちゃいけない。だから一馬さんには大成功してもらわなきゃいけないんです!」
そう言っていただき、凄く忙しい立場に関わらずしょっちゅう我が家に来てくれ、一緒になって考えてくれました。

その中で「一馬さん、放牧場の整備、信金の有志で集まって手伝いに来ますよ!」なんて話が出たんです。
そこから1年。
普通なら忘れてるもんですが、「一馬さん、1年越しになってしまいましたが、来ましたよ。」と全くぶれずに手伝いに来てくれました。(1回だけとかじゃないのよ)

これはね、ほんと、頑張ろうって思うよ。
本当にありがとうございます。

放牧場の整備って、単純作業なんだけど意外に素人には任せられない仕事なんです。
牛飼いだからこその牛の視点に立った電気柵の張り方があり、1本1本無意識の中でも調整し線を張っていくのです。
しかし、今回は人数が多かったため、僕一人が見れる範囲に限界がありました。
そのため「牛って~~~な動物なんです。だから牛が逃げないよう牛の視点になって考えて作業して下さい!」と各々に丸投げし、作業をしていただきました。
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そしたら何も言わなくてもポールを運ぶ人、杭を打つ人、線を張る人、調整する人等々、みんなが自主的に自分の役割を決め、チームを組み、臨機応変に、時には周りの石を使ってポールを打ったり(笑)。
後から見直してもほとんど手直しをするところがないくらい完璧に仕上げてくださり、なんと1日で電気柵を張り終わる事が出来ました!!!

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但馬信用金庫の有志のみなさんです!!
(発起人は但馬にいる人なら分かりますよね。帽子の方。とても同い年とは思えません!!)
ありがとうございました!

さあ、また忙しくなってきますね。
今年のお肉になる牛たちも全員放牧スタート。

「夢」の後を継ぐ「元気」。現在50カ月齢。
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しんどい事も多いけど、進もう。
いや、もう、進み続けてるんだよね。

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Top▲ | by beefcattle | 2013-04-28 22:20
エンドファイト中毒
今日は繁殖農家さんの削蹄まわりでした。

4軒の農家さんを周り、2軒の農家さんで輸入乾草(ライグラスストロー)によるエンドファイト中毒の疑いのある牛が見受けられました。
両農場とも同じロットのライグラスを使用しており、どちらの農場も飼養頭数の1/3ちかくの歩行がふらついており、中には途中でこけて起き上がれない牛もいました。
その中の1軒の農家さんでは昨日親牛の股を裂いてしまい廃用にしてしまったと聞きました。

自分の牛ではありませんが、残念です。。。

同時にエンドファイト中毒についてあまり知られていない事に強い危惧を感じました。

エンドファイトとは植物体内で共生している真菌や細菌の総称です。
植物がエンドファイトに感染することにより植物の天敵(病害虫)に対して摂食障害を起こさせたり産卵障害を起させたりする働きをうみます。
僕ら牛飼いから見たら逆説的な話ですが、芝生などは【エンドファイトに感染している事自体】が商品価値となっています。
その一方で種を取った後の茎(ストロー)が安価な粗飼料として日本に大量に輸出されるようになりました。(以前は焼却処分していたが法律で焼却処分が禁止されたため)
僕自身現在の肉牛の生産事情を知っているだけにこのストロー(種を取った後の牧草)利用自体に善悪を持ち込んではいません。
我が家もバリバリ使っています。

問題はエンドファイトのもう一方の側面。
エンドファイトは病害虫だけでなく、それを食べる動物にも有害な物質を産生します。
畜産に関する事例は簡単に分けると2種類です。
トールフェスクによる中毒とライグラスによる中毒。(どちらも牧草の品種の名前です)
トールフェスクによる中毒で有名なのははフェスクフットと呼ばれ、エンドファイトのエバルゴリンによる末端部の血行障害。
牛の蹄が壊疽してきます。
ライグラスは歩行異常や神経症状が出ます。

対策としては輸入乾草を使用する場合、2種類以上の草を与えてリスクを分散することしかありません。
発見のポイントは嗜好性です。
エルゴバリンやロリトレムの数値の高い草は嗜好性が著しく落ちます。
繁殖牛は90%は乾草給与ですから単一の乾草を使う場合は非常にリスクがある事を理解していなくてはいけません。
繁殖農家なら感覚で分かると思いますが、親牛が食わない草なんてよっぽど何かがおかしいんですよ。
ここで辛抱強く食べさせているとライグラスの場合はすぐに神経症状を起こします。
具体的にはは起き上がる動作がいつもよりゆっくりであったり、立ち上がった際に後脚に力がないと言った感じです。
そのまま行くと起立不能になります。
それまでの過程でも後脚に力が入らないため滑って股裂きをしたりする恐れがあります。

実はこのロットのライグラス、僕も入れていました。
でも、明らかに食いがおかしいのと1頭起き上がるのにいつもより時間がかかる牛がいたことからロリトレムの高いライグラスだと判断し、「この乾草エンドファイトが出るからすぐに持って帰ってください」と全部返品しました。

餌を変えた後、起き上がるのが遅かった牛もすぐにいつもどおりになりました。

今回の農家さんの場合、エンドファイト中毒についての知識を持ち合わせていなかったことに加え、返品ということに遠慮してしまっている雰囲気を感じました。
餌屋さんには嫌がられるかもしれませんが、絶対に返品すべきだと僕は思っています。

エンドファイト中毒自体、あまりポピュラーな物ではありません。
但馬では6年ほど前にフェスクで大発生し、多頭農家の間では話題になりました。
我が家も4頭廃用にしました。
僕の場合、預けていた牛が発症したのですが、典型的なフェスクフットの末期症状で、蹄のさやは完全に抜け、アキレス腱からの傷が裂けて足はブラブラ、傷口からは膿が出ていました。
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僕自身、この時の思いがもとで放牧牛肉を始めたという経緯があります。

だから当時の事を知っている農家は輸入乾草のリスクといった視点を持っています。
でも、思った以上にそのリスクは知られていないんだなと感じました。

こう書くと輸入乾草は危険と受け取られがちですが、何でもそんな単純なものではないです。
自分で草を作っても、堆肥を入れ過ぎると硝酸態窒素が多く含まれる乾草になり、ひどい場合は食べた牛は死にます。
放牧していたって環境が悪ければワラビ中毒で全身の臓器から点状出血が起き、死亡します。

こんなのはただの1例で、輸入だから危険とか国産だから安全とか言う話ではなく、どんなものにもリスクはあり、どんな方法・手法にもそれを行う背景があるという事です。

だから人は人。他人のやり方にどうこう言うつもりはありません。
でもその上で再度、エンドファイトについてどうしても言いたかったのでこの記事を書きました。

こんな事故で廃用になる牛が1頭でも減るようにと心から願います。
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Top▲ | by beefcattle | 2013-04-26 21:05
採卵
今日は我が家のエース「てるこ3」の採卵でした。
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左右の卵巣で黄体があわせて8個。
Aランク4つ。Bランク1つ。Dランク1つ。計6つの受精卵がとれました。
Dランクは細胞分裂の途中で発育が止まって(死んじゃって)使えないし、Bランクは凍結には向かないのでAランクの4つだけ凍結。
VA100,000,000IU(←桁違いだろ!って突っ込みたくなります)×10日の効果は抜群でした。

ただ、同期化した牛は発情がこず(黄体がなく)新鮮卵移植は出来ませんでした。。。。
何だかBランクの受精卵にはな申し訳ない思いでいっぱい。

と、、、牛飼い以外には分からない話でごめんなさい。
牛飼いさん向けのネタはおしまいおしまい!


今日は顕微鏡の接眼レンズに無理やりデジカメくっつけて受精卵を撮影してみました。

これが「てるこ3」の受精卵。
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ピンボケだけど、とにかくひたすら綺麗だよね。
美しい。

これが牛になる。
自分も、目の前の娘も息子も、見たことないけど始まりはこんなだった。。。

僕は毎日毎日牛のルーメン(第1胃)の中を想像して、目の前の牛を見て、どうすればもっと良くなるだろうか考えている。
牛が生まれてから牛市に出すまでの9ヶ月間ずっと。
牛飼いを始めて10年間ずっと。

今まで僕は山ほど失敗して、でも少しづつだけど自分の目指す牛に近づいてきた。

今後も引き続き失敗を重ね、知識は増え、技術も重ねて、今以上に僕は良い牛を育てることができる。
かもしれない。

でも。。。
同じ9ヶ月間だけど、この、受精卵から子牛として生まれるまでの9ヶ月間。
この子宮の中での奇跡に比べたら、自分の牛飼いとしての力ってのはいかに微々たるものかってよくわかる。

自分のしている事は、牛の足をいかに引っ張らないか。
牛に贅沢させるのでなく、いかに牛に寄り添えるかなんだとよくわかる。

それが出来なければ僕は牛で飯が食えない。
最近そう思えて仕方ないのだ。

でもね、これが難しい。
寄り添うって言うのは、言うは易く行うは難しだ。

夫婦や親子であっても分からないことだってある。
ましてや牛だ。
わからん。永遠に分からんのかもしれん。

それでも牛飼いとして生きていくのだから、一生悩まなくてはいけない。

ほんと、贅沢な悩みだね。
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Top▲ | by beefcattle | 2013-04-12 23:43
雑記
今日は消防団の出初式でした。
鬱になってここ2年、すっかり居留守番電話で気まずかったのですが、今年こそはと電話に出ました。
「大丈夫です。行けます。」と連絡を入れたものの、結局前日の夕方から情緒不安定になり、朝になって断りのメールを入れる始末。
35歳を前に、そんなもんです。

ただ、そんな自分であろうと、僕はやっぱり自分が好きです。
誰かと比べて秀でているとか劣っているとか、そんなことではなく、やっぱり自分が好きです。

ここのところずっと削蹄の日々でした。
当たり前ですが、僕はプロなので、そこらへんのただ削蹄ができる人よりは、自信を持って上手いです。
当たり前ですが、僕より上手い人もたくさんいて、その人はいつも僕の横で蹄切っているので、そんな事はいやでも分かります。
そして、当たり前ですが、去年入った新人は僕より下手です。

でも、この1年で彼は本当に上手くなりました。向上心を失わない限り、彼はもっとどんどん上手くなる。
僕が惰性で削蹄していたら、あっという間に追い抜かれると思っています。
今はまだ中学生の子でも、20年後には僕よりも上手くなる子なんて山ほどいるでしょう。
もちろん僕はそのころには55歳なので今のようには切れないでしょう。

優劣なんてそんなものです。
ほんとにつまらん。
結局は自分がどう生きたいか。それだけです。
だから苦しむし、足掻くのです。
少ない人生。関係ない人間のことなんてかまっていられない。

僕は削蹄に行く時、新人のY君の車に乗せてもらって集合場所まで1時間弱一緒に行きます。
でも、僕はほとんどしゃべりません。。。
Y君は気まずいと思います。
彼の事は10年以上前から知っていて弟のような存在。
本当は色々教えたい事もある。
でも良かれと思ってあれこれ教えても、何にも身につかないし、無理に世間話しても時間の無駄。

知りたい事があって初めて疑問が生まれ、質問する事で自分の頭に入り、実践して身につく。
僕はそうだった。
受け身でいる限りどんな成果を残そうが、続かないと思う。
(ただ、例外的にめっちゃくちゃ頭の回転の速い方はこちらの疑問点の答えのもう1個先の話からして誘導してくれますが。。。)

今僕は、改めて牛の事がわからない。
全然わからない。
ほんとに、みんなの方が牛の事知ってるんじゃないのと思う。

色んな人から生の話を聞くたびに、自分の小ささが分かる。
(雑誌は良いことしか書かないから基本的に信用してません)

日々勉強。
日々足掻く者。
そんな自分が好きだし、そんな自分を大切にしてくれる人が本当に大切だ。
エゴイスト。
だからこそ色んな話を聞き、それでも毎回最後は自分の牛と自分を信じて進みたいな。

このブログを皮切りに、またちょこっとずつブログを書いていければと思います。

今日みたいな日もあれば、こんな日もあります。
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放牧牛肉のお肉編も、ぼちぼち書きますので気長に待ってってくださいね。
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Top▲ | by beefcattle | 2013-04-07 19:49
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