育種基礎雌牛
今日は兵庫県の育種基礎雌牛の検査がありました。

育種基礎雌牛なんて難しい言い方ですが、簡単に言えば但馬牛の改良のもととなる母牛の検査です。
但馬牛は松阪牛や近江牛や米沢牛などの銘柄牛とは違います。
銘柄牛とはその名の通り【牛肉のブランド名】です。
上記のように飼育されている地域が名前になる場合もあれば、梅ビーフなど飼育方法などが名前となる場合も、尾崎牛など生産者の名前が銘柄となる場合もあります。

一方、但馬牛(たじまうし)は【牛肉のブランド名】ではなく【牛の系統・品種】を指します。
これについて書きだすと、す~ごく長くなるので「こちら」をご参照下さい。すごくまとまっています!!

但馬牛は兵庫県内で閉鎖育種という方法で生産されています。
他県の「違う血統の黒毛和種」の血を入れず、但馬牛だけで改良を続けているんです。
そのため雄牛は全て兵庫県の試験場が管理して、精液の配布をしています。

兵庫県内の全てのメス牛に、限られた雄牛を交配させるわけですから、雄牛の存在は非常に大きいのです。

大きいが故の弊害もあります。
但馬地域の中でもメスだけで何百の系統がありました。
しかし、年々その数は減ってきています。
人気のある雄や産肉能力ばかりに淘汰圧がかかり遺伝的にどんどん偏ってきているのが現状なのです。

兵庫県内という非常に狭い地域で、閉鎖育種という環境上、遺伝的な多様性が失われればどんどん改良は行き詰ってきます。
その一方で経営があるので、サシの入りやすい人気のある雄でないと使わないというのは当然の事で、雄牛は産肉能力と遺伝的多様性としての能力が求められるわけです。

この雄牛を生産するために、毎年兵庫県の畜産試験場が【指定交配】といって基礎となる母牛に受精する種を指定します。
ここで雄が生まれれば雄牛候補として県に買い上げとなり、その中で本牛の成長やその子達の産肉成績によって淘汰選抜され、最後に残った者のみが種雄牛として活躍できます。

今日の育種基礎雌牛の検査はまさにその基礎となる母親の検査でした。
我が家からは『てるこ3』『ともこ』『ふくえ2の1』の3頭。
今まで1度も選抜された事がなかったので、更にみんなが牛を見て「良い牛だ」と言ってくれて、とっても嬉しかったです!!

指定交配が来ればいいな~。。。

牛飼いを始めてまだ1度も種雄牛を生産した事がないので、雄牛にすごく憧れがあります。
しかも雄が買い上げになったら、かなり良い買い取り価格なので。。。。

という皮算用は何も生まないのは骨身にしみているので、あてにせず淡々と牛飼いしようと思います(笑)

僕は10年前に経産牛を飼うとこから牛飼いを始め、安価で回転の速い経産牛を導入する事で牛を増やしてきました。
その間ず~っと「一馬の所は人がいらないっていう牛ばかりがいる。(数はいても良い牛がいない)」と言われてきました。
でも10年かけて少しづつ牛がそろってきたなと今日思ったのでした。

今まで関わってくれた牛にも、今いる牛にもありがとう。
すべての牛と一緒に今日も進みます。

d0099005_20193615.jpg

[PR]
Top▲ | # by beefcattle | 2013-08-05 20:30 | 日記
去勢の副産物
先日ニコイチ捻転法にて去勢をしました。
もうすっかり馴れて、保定さえちゃんとすれば一人でも簡単にできます。

去勢1時間後の牛さん。
d0099005_19293462.jpg

出血なし、術部もかなりいい感じ。
ニコイチ捻転去勢法は「こちら」をご参照下さい。

あまりに上手く取れるもので、今回は去勢の副産物を有効利用する事にしました。
これ、金玉です。
d0099005_19342058.jpg

嫁さんはドン引きですが、僕は大学のサークル時代に何度か仲間で食べた事があったので躊躇しません。

子どもも興味津々。
d0099005_19373545.jpg


学生時代は牛乳で臭みを抜いて刺身のように食べていた気がしますが、15年も前の事で記憶もあいまいです。
タコの刺身のような食感で、美味くもなく不味くもなくといった記憶。。。

今回は「腹が満たされればいい」学生時代とは違います。
美味しく食べたい。

と、いう事で嫌がる嫁さんに調理をお願いしました。
調味料で味を誤魔化すのでなく、臭みを抜きつつ素材の味を楽しみたい。
そんな一方通行な要望のもと、妻が出した調理法は「酒で煮る」。

ホルモンなどはお酒で煮る事で臭みがかなり消えます。
今回もその作戦です。

①まず去勢後の睾丸を流水で5時間ほど放置。
②睾丸表面の硬い皮をむく。
③水:酒=1:1を生姜と一緒に鍋に入れ沸騰させる。
④睾丸入れる。
⑤10分ぐらい弱火で火を通す。
⑥切る
⑦ポン酢をかける。
以上です!!!!!

d0099005_19504192.jpg

これがね、思った以上に美味しい。
薄皮のコリコリとした食感と、中は白子のようなクリーミーさ。
若干臭さは感じるものの、ポン酢に抜群に合う。
美味い。

味だけで見れば、これはアリだなと思いました。
問題は先入観。

まあ、販売するわけじゃないし僕が食べるだけだから、先入観なんて関係ないんですけどね。
次はどんな食べ方しようかな。。。。
[PR]
Top▲ | # by beefcattle | 2013-08-03 19:54 | 食べました
かわいさ
子どもという者はほんとうに可愛くて、犬っころであっても猫っころであっても大抵は可愛さで許せてしまうものです。

何が可愛いかというと、僕は『手・足』だと思うんですね~。
子犬も子猫も小さい頃は短足でむくっとしていてかわいいですよね。
我が家の3番目も生まれて半年を過ぎました。
この使っていない(鍛えていない)まっさらな状態の腕や手足のむっちむち感は、まさに職人の手の対極。
これは極致だと思います。
d0099005_172059.jpg


実は生まれたばかりの子牛の蹄もプニプニしています。
d0099005_17284389.jpg

牛の蹄は水分を含むと柔らかくなります。
羊水に浸かっていた子牛の蹄は当然柔らかいのですが、それに加えて負面(地面につく面)がもっこりと盛れています。
このもっこりが消しゴムのように微妙に柔らかい。
柔らかいと言っても子牛が立てば凹む感じではなく、もっこりのまま。
ただでさえ生まれたてで足フラフラなのに、負面が盛っているので子牛も立つのが必死。

「ああ、最初から立つのに適した蹄じゃないと、不便じゃないか!敵にやられちゃうよ!」と、つい思ってしまいます。
でも赤ちゃんってそういうものと言うか、そういう矛盾点や不完全さがかわいいのではと僕は思うのです。

そんな子牛も生後1週間もすれば、地面との摩擦で負面はこんなふうに平らになってきます。
d0099005_17383776.jpg
d0099005_1739081.jpg

負面が平らであることは体重を支えていく上で基本中の基本なので良いことなんですが。
なんだか残念なような嬉しいような。。。

ちなみに蹄は前だけではなく下にも伸びるので、飼われている環境が蹄の摩耗しにくいところ(深いおがくずの上など)だと、再び負面は盛ってきます。
それは見ていて痛々しい。。
削蹄してください。

生れたばかりのこの無防備なまでの蹄は、子ども特有の『可愛さ』と思ってしまうのは、牛飼いだからなのか、僕が変わっているからなのか。
いずれにせよかわいいと思う気持ちは、大切に大切にしていきたいと思います。
[PR]
Top▲ | # by beefcattle | 2013-07-30 22:48 | 削蹄
牛飼い
牛飼いを始めてどれほど思っただろう。
どれほど泣いただろう。
どれだけ決意しただろう。
「もう殺さない」と。
先ほど死亡している子牛を発見した。
もう涙は出てこない。
ただ胸の中がざわざわする。
ざわざわざわざわする。
次に生かすなんて、もう軽々しく言えないし言いたくない。
背負うことしかできない。
[PR]
Top▲ | # by beefcattle | 2013-07-20 19:59 | 日記
日本の草資源
相変わらず削蹄出来なくってきついけど、今日からリハビリが始まりました。
痛いけど心地いいです。前に進んでる感じがして。

車に乗って周りを見渡せば、そこら中の道路脇に雑草が伸びているのを目にします。
これらの草を自分で刈払い機で刈って、空き缶などのゴミを除け、フォークで草を反転させ、乾かして集め、軽トラに乗せ、毎日50頭分の牛の草を集めるのは労力的にもコスト面でも割に合わない。
実際牛が12頭くらいまではそこら中の道の草を刈っていたけど、毎日がいっぱいいっぱいだった。

はるか遠くのアメリカからの牧草を買う方が安い。と
スケールメリットを求め増頭増頭。
しかし、近年の輸入飼料の高騰化で輸入依存はあっぷあっぷに。。。

昔は畦草の取り合いで「この法面の草は家の田んぼのだ!」とか、法面の畦草でも上下半々で取り分を分けていたり、草をめぐってもめ事があったと聞いた。
牧草地の集約化が出来ない地域と言うこともあるが、それくらい周りの草が利用されていたし、昔はそれで成り立っていた。
もちろんがっぽり儲けていた訳じゃないし、出稼ぎもあった。
それでも和牛20頭で多頭飼育とよばれた時代があった。
今は和牛繁殖で200頭、肥育で1000頭なんてふつうに見る。

だから何だと言うのではない。
昔はいいねという話でもない。
ただ、前を走るトラックの風を受け、伸びきった雑草が大きく揺れるのを見て、何だか「使ってくれ」と手招きしているように見えて仕方ないのだ。
そんなことを草が思うはずもないのに、トラックの風で揺れる草を見て、こんなにも自然豊かな日本にいて、何だか寂しくなった。
d0099005_17361395.jpg

[PR]
Top▲ | # by beefcattle | 2013-07-18 17:38 | 日記
"Fallen Leaves" Skin
by Animal Skin
| ページトップ |