牛市前
明後日は牛市で我が家は4頭出荷します。
今回も前日からの市場搬入をすることにしました。
前日搬入は牛は痩せますが(腹がへこむ)、ゆとりを持って運べます。
また、朝早くから車に揺られて市場に連れて行かれ、休むまもなくつながれ、そのまま遠距離の輸送はなんだか少々牛がかわいそうで、ぎりぎりまで寝させてやろうかなと。。。

牛市の前の晩は1升瓶片手に牛房に入り牛と話をします。
慣れている牛はもちろん、人が苦手な牛も牛房内で座って飲んでいると必ずよってきます。
「大きくなったな」なんてしみじみ話はしません。
「元気に育てよ」なんてことも言いません。
ただ「おい、どないだ?」と聞くだけ、あとは勝手に一人で飲んでいます。
そんなもんでいいんです。
いつもと同じ態度でも十分わかってくれてる気がします。
飲んでいると、牛は次々と顔をなめるわ、髪を噛んで引っ張るわ、服はなめて噛んでびしょびしょにするわ、だんだん調子に乗って頭突きもしてくるわとむちゃくちゃにされるわけですが、牛房内で腰をすえて飲むだけで8ヶ月近く見てきた牛であっても「こんな一面があったんだ」なんて気づくこともあるわけです。
明日は搬入です。
後はただ怪我をさせず、風邪をひかさず、安全に彼らを連れて行くことが僕の仕事です。
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Top▲ | # by beefcattle | 2007-01-12 22:53 |
牛舎③
現在の牛舎について
まずどういった飼い方をするのかが牛舎設計の基本になります。

我が家の牛達はほとんどが経産導入です。
しかも限られた資金で数を集めたために安価な高齢牛が大半を占めています。
そのため親の母乳がほとんど出ず、子牛の発育は期待できません。
子牛の販売がおもな収入源ですからこれは死活問題です。
以前は子牛の生時体重と7日齢体重の差から母親の乳量を推定し、足りない分の乳を追加していました。
これが2~3頭なら出来ますが、多いときには一度に哺乳頭数は25頭くらいになります。
かなりの労力です。
代用乳をすんなり飲んでくれればいいのですが親につけているとなかなか飲まない牛も出てくるのです。
蹴る親もいますし、何日たっても代用乳を嫌がり結局飲まない子牛もいます。
単に哺乳瓶を持っていっても飲まないのです。
代用乳を飲ますためには親の乳を必死に飲んでいる最中にさっと哺乳瓶とすりかえる必要があります。
これが意外と難しい。
たとえ出来ても25頭の牛を1度にその方法で飲ますのは時間的にも無理ですし(哺乳している間に子牛が親の乳を飲み終わってしまう)、1頭飲ませては次の牛を親につけ代用乳を飲ますといったことをしていたら時間がいくらあっても終わりません。
自然哺乳の追い乳は効率が悪すぎます。
今後は母牛の更新も早めていく予定ですが、乳の出る若い牛をそろえようと思えば10年では無理です。
また、若くても乳の出ない牛には結局乳を足さなくてはいけません。
ならばいっそのこと全頭人工哺乳にしようと思いました。
人工哺乳は発情が早くなるなどのメリットもありますし、総合的に考えると十分もとの取れる技術だと思います。
手間もかかりますが管理が効率的に行える牛舎にすることで空いた時間を哺乳に使おうと考えました。

簡単ですが以上のことから管理の面から「人工哺乳」「給餌除糞作業の効率化」を牛舎設計の前提としました。
そのほかに観察がしやすいこと、1頭あたりの飼槽幅を確保すること、換気のよさ、保温対策、各ステージにあった管理が出来ることなど、牛と人が快適で効率的に生産がの出来る場ということを念頭におき考えました。
また資金面からは面積の削減が絶対的な課題でした。
(人件費、材料代、構造強度からのコスト削減は設計士との話し合いにより検討していきました)

まずは牛舎の面積の削減について。
第一候補は産室でした。
産室は一般的には予定日7日前には牛を入れ、分勉後は7日ほど親子一緒に飼います。
普通に使えば1頭に2週間必要です。
産室は分娩時期が続くときなら大量に必要になりますが生まない期間は使わない。
このロスをどこまで削減できるか。
これは先程の人工哺乳をすると決定したことで一部解決しました。
人工哺乳だと生後3日で親と離すためその後の4日は短縮できます。
また観察の徹底により分娩時期を見極め直前に産室に入れることで前半の6日も短縮できます。
この方法はリスクがありますが経験で十分出来る範囲だと思っています。
ただ初産だけは早めに産室に入れますが。。。
これで10日は短縮できたことになります。
色々シュミレーションした結果、常時産室としてみておくべき部屋は2つあれば十分となりました。(3頭以上のときは空いた子牛の部屋が産室です)
これは一般的な50頭牛舎に比べかなり少ない数です。

次に親の飼い方からのスペースの削減を試みました。
まず繋ぎ飼いにしました。
フリーバーンに比べかなり面積は削減できます。
今回の牛舎は親牛15頭を1列とし、3列つくりました。
そのうち2列は尻あわせです。
ようするに母牛だけを一ヶ所にビッと集めたわけです。
自然哺乳ではこうはいきません。
子が親のところに行けるように考えると、結果として場所をとります。
また作業効率が低下し、牛の管理がしにくい面も出てきます。
例えば、片側に子牛の部屋を作り親の所へいけるような牛舎もありますが、これでは子牛の部屋は2~4つしか作れずステージにあった管理が出来なかったりします。
牛床の長さははニューヨークタイストールにすることで通常の和牛の180㌢より短い165㌢にできました。
尻あわせですから計30センチの削減です。
たかだか30センチ、しかしこういったことも積み重ねるとかなり大きいのです。
もちろんニューヨークタイストールは低コストで出来、牛の自由度が高く、牛にとっても資金的にも良いといったことも選考理由です。
ニューヨークタイストールは自然哺乳では子牛の脱柵のおそれがあるために向きませんがこれも人工哺乳により可能になりました。
結果、人工哺乳することでかなりのスペースの削減ができたのです。
1例ではありますがこういったかんじで次々にスペースの削減を進めていきました。


資金があればいくらでも牛舎は大きく出来ます。
また、資金が無いからといって狭い牛舎では牛に負担をかけ削減したコスト以上の損失を生みます。
いかに牛に負担をかけず、効率的で安くあげるか。
確かに「ここをもっと広くすれば」とか「ここをもっとこうすれば」というのはあります。
予算が無限ならいくらでも牛にとって快適な牛舎は考えれます。
しかしあくまで牛舎は商売として牛を生産する場。
資金無限大の牛舎などないのです。
理想の牛舎とは我が家に合った牛舎です。
この「我が家に合った」というところが工夫のしどころで牛舎設計のおもしろいところですね。

次回は具体的な牛舎の寸法をひたすら羅列していきます。
                                   (牛舎④へつづく)
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Top▲ | # by beefcattle | 2007-01-11 23:03 | 牛舎
牛舎②
人も牛も快適で作業しやすく安価な牛舎。
言うのは簡単です。
牛飼いを始めて2年目、「さあ牛舎を建てようか!」と思いたったのはいいのですが、イメージがちっともわきません。
建てるにあたって何から考えたらいいのかも分かりません。
安くするには自家施工で人件費を・・・・・コンクリ基礎の仕方も分かりませんし、機械も使えません。左官屋という仕事があることすら知りませんでした。
ならば手伝えるところは手伝って・・・もしくは材料費を削る、間伐材、規格品のプレカット、パイプ牛舎、畜舎設計基準の緩和・・・・
単語しか出てきません。
使いやすい牛舎とは・・・・・・今まで見てきた牛舎の形から脱せません。

実際にどうやって牛舎を建てていくのかの知識も無し、牛を飼い始めて2年目で牛飼いのことも分かっていない。
これで牛舎建てようというのだから無茶な話です。
そこでまずは人の真似をしようと考え、県内でもトップクラスの繁殖農家の牛舎を参考にしました。
この牛舎は給餌、糞尿処理、個体管理もしやすい。
何度もその農家にはヘルパーに行ったことがありその使いやすさはよくわかっていました。
「せっかく自分で牛舎の設計を考えれる機会なのに人の真似は。。。」との抵抗感もありましたが、何もかも素人の私が何千万もかけ牛舎を建てる。しかもこの先何十年と使っていく施設。
正直自信がありませんでした。

そこで、そこの牛舎の寸法を真似て図面を書いてもらいその農家の方に見てもらいました。
きっと「これでいい」との言葉が聞けると思っていたのです。
しかし僕が言われたのは
「君は一生懸命考えてこんな牛舎しか考えれなかったんかいや」の一言でした。
これで火がつきました。「何い?見とけよ」と(笑)
そしてこの時、牛舎ありきになっていたことに初めて気がつきました。
牛舎設計にあたりまず考えなければいけないことは自分がどういう牛飼いがしたいのか、もっと言えばどういった生き方がしたいのかだということ。
牛舎はあくまで手段であり目的では無いということ。
これは僕のゼミの干場先生が常に言っていたことでした。
一からもう一度考え直そう、そして自分で自分の牛舎を考えようと、ようやく牛舎設計のスタート地点に立てたのです。

それからはとにかく色々な牛舎を見、とにかく写真を撮りました。
2年で5000枚くらいは撮ったと思います。
どこに行くにもカメラ、メジャー、メモは当たり前。見るだけでは分からないですから手当たりしだい質問しました。

そんな中でまずはイメージできるとこから始めようと牛舎のレイアウトから入りました。
基本は牛も人も快適に健康に過ごせるということ。
そして一人で50頭の管理が出来るということ。
その後早い段階で100頭にするということ。
1棟ですべての牛を飼わなければいけないということ。
資金面から面積はとれないということなどです。
細かく言えばまだまだあります。

最初は木造でパイプで仕切りを作る牛舎を考えていました。
12m×50m。
中央に2.6mの通路を取り両サイドに4m×4mのマスが10マス。飼槽がそれぞれ70センチ。
残りの10メートルは資材置き場兼事務所といった牛舎でした。
いたってシンプル。ただ使い勝手が悪い。
親は牛房でフリーバーンとして飼うには狭すぎ、繋ぎ飼いがとなる。
そうすると親の除糞と哺乳がかなりしにくい。
さらに50頭の親子を飼うには狭すぎる。
第2段(細かく言えばは第何十段ですが。。)
11m×56.8mの624.8㎡
入り口から10メートルは以前と同じ事務所兼資材置き場。
3.6m×3.6mのマスが中央通路を挟み両サイドに13マスあります。
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親のスペースはとりあえず前方で、親の後方の除糞通路に着脱式の扉をつけることで子牛の部屋にも産室にもなる。
5月からは放牧をするので空いた親のスペースを子牛部屋にできる。
ゆくゆくはこの牛舎は親専用牛舎にして次に建てる時は育成専用牛舎を!
・・・大真面目でした。シュミレーションもばっちりの気でいました。
親も飼えるし子牛のスペースにもなる。
次の牛舎建設のことまで考えた画期的な牛舎だなんて(笑)
改めてみると欠点だらけです。
簡単に言えば効率的に見えて使いにくい牛舎でした。
これに気がつくのに半年かかりました。
しかし当時はよしこれで行こう!これで完璧!と決定し話を進めていました。

ところがなんと話を進めていた最終段階で問題が発生し牛舎建設が白紙になったのです。
僕の頭も真っ白です。
1年間ぼうにふり、再び土地探しから始まりました。
しかし、この1年の期間があったからこそいまの牛舎の構想が出来てきたのです
                                    (牛舎③へつづく)
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Top▲ | # by beefcattle | 2007-01-08 01:19 | 牛舎
牛舎①
去年の3月に新しい牛舎を建てました。
新規就農で牛舎を建てて始めるという事例はほとんど無いと思います。
通常は離農した農家の牛舎を利用するか、町などが用意した牛舎に入り利用料またはリース料を払うといった方法だと思います。
就農にあたり生活費、運転資金、牛の導入資金など多額の資金が必要になるのに、さらに牛舎を新しく建てるなど普通は考えられません。
しかもこの地は積雪2mを見ないといけない地域。
牛舎の構造も雪に備え頑丈にしなければいけません。
つまり、牛舎の㎡単価は通常よりかなり高くなるということです。
宮崎や鹿児島の大規模の牛舎を見学しましたがほとんど九州の牛舎は㎡あたりが15,000円から20,000円で建っています。
50頭牛舎が1,000㎡とすると1500万から2000万で建ちます。
しかしここは豪雪地帯のため㎡あたり50,000円くらいあっという間にいきます。
ということは、5000万円!
とても建てれません。
だから当初は牛舎を建てるということは僕の頭にはありませんでした。
借りていた牛舎を建て増しして増頭しようと考えていました。
しかし10頭牛舎を建て増ししたところで20頭が限界。
20頭ではジリ貧になる。
空き牛舎もなかなかありません。
この地域では北海道と違い離農農家は1~2頭飼いの高齢者がメインです。
空き牛舎はあっても10頭規模が見つかればいいほうなのです。
たとえその牛舎を借りれたとしても移動だけで1時間弱かかり、冬は除雪をすることを考えれば通勤は不可能でした。
ではどうするか、、、、
・もし今の牛舎が5棟あっても牛舎の構造上1人で50頭の管理は無理である。
・30頭では牛舎の返済は難しいが、50頭なら返せる自信がある(3000万くらいの牛舎なら)
・30頭規模も50頭規模も大して牛舎価格は変わらない。
・なにより自分で考えた牛舎で牛を飼ってみたい!

よし、建てよう!!
牛も人も快適で、作業しやすく、安価な牛舎を。          (牛舎②につづく)
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            牛飼いを始めた当初の牛舎と牛
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Top▲ | # by beefcattle | 2007-01-05 23:28 | 牛舎
肉牛研究会
僕がいっていた大学(酪農学園大学)には肉牛研究会というサークルがあります。
肉牛研究会は学生自身が人工授精から治療、除角、去勢をし、土日は大工仕事や堆肥の製造販売、子牛の育成から肥育までの生産を一貫して行うサークルです。
牛を知らない僕が牛飼いを志すきっかけになった場所でもあります。
このサークルでは年に一度出荷祭というイベントを行います。
自ら育てた牛の肉を調理したり生肉として販売するのです。
今年の肉は日本短角種でした。
日本短角種とは但馬牛や松阪牛、神戸牛、近江牛といった黒毛和種と同じ和牛と言われる牛の仲間です。
日本短角種は生産頭数が非常に少ないため今まで食べる機会がありませんでした。
一般的に黒毛和種より短角は肉質は劣ると言われています。
しかし、一方ではサシはないがヘルシーで赤身がうまいとの話も聞きます。
実際はどうなのか以前から興味があったのです。
また、輸入穀物飼料に頼る一般の牛の飼い方よりも短角の特徴である粗飼料〈草)の利用率の良さを生かした肥育の仕方も以前からから興味をもっていました。
今回肉牛研究会では草をベースに飼い、足らない栄養はアルコール発酵飼料やパン屑といった国産の食品残さを利用した飼い方で育てたと聞きました。
格付けはA2とB2ですので厳しいものがありますが、この考え方はこれからの畜産のひとつの理想像であると思います。

届いた肉は見たかんじは脂が意外に多くイマイチだなといったかんじでした。
しかし、食べてみるとうまい。
脂も甘く、思ったほど脂っぽくない。
全体的に赤身も脂も甘くて美味しくいただきました。
大げさかもしれませんが日本短角とこれからの農業を担う後輩達の可能性を感じさせる肉でした。
しかし、まだまだ負けてやる気はありません。
今後の彼らの活躍に期待したいと思います。
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http://www.rakuno.ac.jp/news/200611/news41.html
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Top▲ | # by beefcattle | 2007-01-04 18:41 |
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